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理想のマイク&マイクプリを探せ!
プロ仕様から宅録まで、音質徹底比較検証

理想のマイク&マイクプリを探せ!
プロ仕様から宅録まで、音質徹底比較検証


「プロの使うマイクの音質ってどれくらい音が違うの?」宅録で音楽を作る人ならば誰しも考えたことのある疑問だと思います。本校『レコーディングコース・プレミアム』の授業の一環として、そんな受講生の疑問に答えるべく、徹底検証会を行いました。テキストと併せ、音を聴き比べてみてください。


美学校レコーディングコース・プレミアム講師の中村公輔です。

このクラスの最終講義において、筆者の自宅スタジオ”深海スタジオ”にて、マイクやプリアンプの比較視聴を行いました。アマチュアの方は高級機材やヴィンテージ機材を使う機会が少ないので、神格化してしまいがち。また、プロの方もスタジオにコンシューマー機が置いていないので使う機会がなく、どれほどの差があるのか知らない場合がほとんどだと思います。

受講生の皆さんも、自分でそれなりの機材を揃えてはいても、それがプロ用機とどれくらい違うのか、果たしてより良いマイクを購入すべきなのか悩んでいました。しかし、実際に検証する機会は無いので、悩みは堂々巡りするばかり。

そのようなモヤモヤを解消するために、今回の講義を企画しました。

今回の検証作業ではADコンバーターにDigital Audio Denmark ADDA2402を使用。Protools HD8に録音していきました。テストを手伝ってくれたのは、ariel makes gloomyのボーカル”イシタミ”さん。バンドのオリジナル曲「earlydawn(Blue Diary Version)」の一部を使わせていただきました。検証用に持ち込まれたマイクを交換して何度も歌っていただいたので、テイクは違いますがマイクの雰囲気はつかんでいただけると思います。

それではマイクからチェックしていきましょう。赤字のものが当スタジオ所有のマイク、青字のものが生徒の持ち込みマイクになります。なおマイクのチェックは全てShep/Neve 31102を通して行いました。この機種はNeve1081タイプのプリアンプを内蔵しており、スタジオの定番的な音色です。

【コンデンサーマイク】

Neumann U87

AKGC414TLII

Neumann CMV563

————————————

AKG C3000

Audio Technica AT2050

MXL 2003MXL

V67Rode NT2A

【ダイナミックマイク】

Senheiser MD421U5

Shure SM58

☆☆☆

 

Neumann U87言わずと知れた定番機種ですね。おそらく皆さんもCDなどでよく聴く音色なので、聴き慣れた音だなという印象だと思います。ナチュラルですが、中高域に粒子が見えるような感じがして、その辺りがシルキーに感じる部分なんでしょうね。現行のU87aiはもう少し硬い音がします。

AKG C414TLIIこちらも定番機種ですね。U87よりは安価ですが、実際のボーカル録りにも使われることが多いです。U87と比較するとソリッドな音で、高域が少し強調されています。U87で録音して空気感を出すために10kHzをEQでブーストすると言った場合に、あらかじめC414を使ったほうがベターな事は多いですね。かなりコスパが高いマイクだと思います。

Neumann CMV563東ドイツ・ノイマンの真空管式コンデンサーマイクです。U47などと同じM7カプセルが使われている機種。こちらは上の二つに比べて、かなりソフトな音色になっていますね。ブレスやサ行が気持ちよく聴こえるので、こういう音色が欲しい時にはU87をフィルターで高域を落とすよりも自然な音にすることが出来ます。 AKG C3000 C414に似た傾向のマイクですね。C414の低域と超高域を丸めて中域に寄せた音と言う感じがします。比較すると多少詰まった感じはしますが、シェルビング・タイプのEQで100Hzと10kHz辺りをそれぞれブーストしてあげるとかなり近い音になりました。硬めの音にしたいときには、元からこちらで良いかもしれません。

Audio Technica AT2050すっと高域が伸びた音色ですね。中低域の太さは無いですが、オケ中で埋もれない明るさはあると思います。ただしこのマイクは、個人的にはアコギをオケ中で立たせたい時や、ポップス系のピアノを明るく取りたい時などに使ったほうが真価が発揮できそうだと思いました。

MXL 2003こちらは中域に抜けがあると言うか、シャリッとした傾向なマイクですね。トラックメインでボーカルの芯を出したくない場合や、バッキングコーラスを左右に振り分けて、メインの邪魔をしない音にしたい時などに使うと良い気がしました。

MXL V67こちらは2003とは逆に重心が低めのマイクですね。コンデンサーマイクというよりは、ジャキっとした所が出ていないSM58と言う印象を受けました。低価格コンデンサーマイクにありがちなギラギラして痛い所が出る感じは無いので、低価格でソフトな音が欲しい時には良いかもしれません。後述しますが、低価格なプリアンプは音が細い事も多いので、そのようなプリとの組み合わせでは丁度良い感じかもしれないと思いました。

Rode NT2Aもはや低価格マイクの定番機。持っている方は非常に多いと思います。高域寄りなキャラクターで派手に聴こえやすいマイクだと思います。バキバキした打ち込みの楽曲には良く合いそうですね。逆にしっとりした楽曲では、細く感じたり歌い手によっては痛い感じになってしまうかもしれません。ウィスパー系のエレクトロニカみたいなのにも合いそうだと感じました。

Senheiser MD421U5ボーカルに使われることが多いダイナミックマイクです。SM58より上も下も伸びてるイメージですが、思ったより下が出ていないですね(笑)古い個体なので、やや低域が抜けてるかもしれないです。421はローカットが付いているんですが、録音の際にはローカットは入れていません。SM58ほど中高域のザラつきは無く、中域の密度もあるので扱いやすいマイクです。

Shure SM58ダイナミックマイクの定番ですね。中域はしっかりしているので、高域を少しEQで伸ばしてあげると、安価なコンデンサーマイクより余程扱いやすい音になると思います。ただしコンデンサーと違ってプリアンプでゲインを稼がないと適正音量にならないので、良質なプリアンプを使わないとノイズの問題など音質的に問題が出ることがあります。プロが「使えるマイクだ!」と思っているのに、アマチュアが音が悪いと思っているのは、そう言う原因があると思います。

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プリアンプ プリアンプのチェックには全てNeumann U87を使用しました。こちらも赤字のものが当スタジオ所有の機材、青字が生徒の持ち込み機材です。

Shep/Neve 31102

Neve 1290

TelefunkenV72

Telefunken V76

————————————

Alesis MicTubeDuo

Joe Meek VC3Q

StudioProject VTB1

ART TubeMP StuioV3

 ☆☆☆

Shep/Neve 31102Neve1081タイプのプリアンプです。フラットですごく普通の音と言う感じですね。SSLなどに比べると味付けはあるものの、1073に比べてかなり素直でツルッとした音で録れる印象です。 Neve 1290 Neve1073のプリアンプのみのモジュールです。31102に比べて低音が出ていて高域にザラつきがある感じですね。U87との組み合わせだと、誰しもが聴いたことのある音と言うサウンドになりますね(笑)70年代のロックから、最近のポップスまでこの質感はいたるところで聴かれている音だと思います。

Telefunken V72ビートルズのサージェント・ペパーズ辺りで使われていたものに近いモデルです。重心が低めで太さがあり、ロックな音のするプリアンプですね。ソースが低音寄りだともっと差が出ると思いますが、Neve系と比べて高域が柔らかいので真空管っぽいサウンドって感じがしますよね。甘い音。

Telefunken V76プリアンプのロールスロイスと言われている機種です。V72に比べて高域が伸びてハイファイな印象です。真空管というと歪んで音が丸いローファイなイメージがあった人は、この音を聴いて考えが変わったのではないでしょうか?高域がシルキーに歪んでいるので、実際の音より録り音の方が気持ちよく聴こえると思います。

Alesis MicTubeDuo音の傾向は良いと思いますが、少しハムノイズが乗ってしまっていますね。ただしこれは古いものなので、コンデンサーの劣化でノイズが出てしまっていることが考えられます。安価で電源がしっかりしていないものは、こういうノイズが薄く乗ってくる傾向がありますが、少しこれは大きすぎると思います。コンディションの良い個体で再度試したいところです。

Joe Meek VC3Qなかなか使えそうな音ですね。上の4機種と比べて、価格差が数十倍あることを考えると、かなり健闘していると思います。低価格機の中では太い方でしたが、中低域に少し薄さがあり、「あの日僕が」の歌詞の「の」の部分で音量が少し落ちるような感覚がありますね。この辺りは録り音を聴きながら補正してあげれば、十分使える範囲内だと思いました。他の低価格プリアンプでも、やはり同じような傾向だったので、低価格コンデンサーマイクに低価格プリの組み合わせだと、かなりシャリシャリな音になってしまうかもしれません。

StudioProject VTB1このプリはソリッドステートとチューブのバランス切り替えが付いていて、音色をブレンドすることが出来ます。ソリッドステートの方はVC3Qより細め、チューブの方が太めと言う感じですね。今回のボーカルにはチューブのほうが合うかなという気がしました。TubeMPもそうですが、中の真空管を変えるとまたキャラクターが変わると思うので、好みに応じて色々遊べそうだと思いました。

ART TubeMP StuioV3筆者も古いモデルを所有していますが、徐々に音質が良くなっている気がしますね。低域は薄くナローレンジですが、中高域の痛さは少ないので扱いやすいと思います。もちろん音質差はありますが、Neve1台でこれが100台買えることを考えると、逆にこの程度の差なのか…と思った人もいるかもしれないですね(笑)実は筆者が90年代に自分の1stアルバムを作った時には、全然録音機材を持っていなかったので、本機の古いバージョンとSM58だけで全ての生楽器を録音しています。

総論


良くも悪くも、ただマイクを立てて録音しただけでも機種によって違いがあるということがわかっていただけたでしょうか。やっぱり高級機材は全然音が違うと思った方もいるでしょうし、こんなに金額に差があるのに思ったほど差がないと思った人もいることかと思います。

ボーカルは一番不自然さを感じやすいパートなので、やはり高いもののほうがいいなと思った方も多いかと思いますが、それ以外の楽器では安価なマイクのほうが良いことがあります。ギターアンプに立てるSM57のように、その音自体を聴き慣れていたりすると、むしろ他のマイクに物足りなさを感じてしまうようなケースも多いです。結局は使いどころだと思うので、こういう違いがあるのだなということを把握した上で、ソースによって使い分けてみて下さい。

生徒には当スタジオのモニター環境で聴いてもらったので、皆さん違いに驚いていましたが、もしかするとまるっきり違いがわからないと思った人もいるかと思います。リスニングのポイントとしては、低音の分量、母音、特にイの張り出し具合、サ行の質感などを聴いていくと違いがわかりやすいです。 それでも違いがわからないという方は、録音機材を揃える前にモニター環境を充実させた方が良いと思います。

プロ用機とコンシュマー機の違いがわかっていれば、ある程度はミックスで補正が効くので、皆さんも色々チャレンジしてみてください!

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【ゲストボーカル・プロフィール】

イシタミ  twitter

4ピース編成のバンドariel makes gloomy(key.vo)、ソロプロジェクトmiifa(key,prog,vo)、ピアノの弾き語りで活動中です。

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〈DTM〉
numb

▷授業日:不定火曜日 19:00〜21:30
DTMによる音楽制作を総合的に学ぶ講座です。シンセサイザーの音作りからビート打ち込みテクニック、サウンドをケアするためのミックスダウンに至るまで、自分の音源をプロのクオリティに近づけていくためのスキルを、一年かけて鍛えていきます。

Nakamura Kosuke

▷授業日:隔週金曜日 19:00〜21:30
音楽作品をデザインしていくための『録音』『ミックス』『マスタリング』の知識とスキルを基礎から学ぶ講座です。自分の音楽作品を創る上で、音の入り口から出口までを、トータルで高いクオリティで仕上げるための技術を身につけます。

Yokogawa Tadahiko

▷授業日:隔週月曜日 19:00〜21:30
アーティストとして作品を世に出していくために、自分の表現の幅を広げ、オリジナリティを掘り下げていくためのゼミナールです。自分の作品の強みは何か?アーティストとしての個性を模索しながら、一年かけて自分の作品をまとめたアルバムをつくることが目標となります。