【集中連載】EN-Tokyo 〜レコード屋とビートが繋ぐ縁〜
vol.2 アーティストインタビュー


縁が生んだコンピレーション『Time is a Thief』

2014-02-152016.26.27
━━━先日リリースされたEN-Tokyoによるコンピレーション『Time is a Thief』についても話を聞かせてください。これはEN-Tokyoに普段参加しているメンバーに加えて、海外からもかなり色々なビートメーカーが参加しているんですよね。

これはEN-Tokyoとしての最初のコンピレーション企画になります。 今ビート系のコンピレーションって海外では本当に沢山企画されていて、Bandcampを掘ると 20曲入りとか50曲入りとかで膨大な数がリリースされているんです。今ってソーシャルが発達しているから、例えば、色んなアーティストのsoundcloudの『like』のタグを掘っていくだけでも、無名でありながらもヤバい音を作っているアーティストには比較的容易にたどり着くことができます。

そういったアーティストにコンタクトをとって、適当に音源集めてコンパイルして…みたいな企画は、月に何本もリリースされている状態なんですね。

━━━bandcampに上がっているコンピの量だけでももう掘り尽くせないくらいの数が出ていますよね。

ただそういったリリースって、適当にヤバいアーティストに声かけて、企画に乗ってくれればラッキー、みたいな、ある種ノリ一発で作られているものが大半なんですよ。今回、僕らがEN-Tokyoで企画するにあたっては、EN-Tokyoの『縁』(=コネクション、リレーションシップ)で繋がっているアーティストを生かしてヤバいコンピレーションにしようという思いがありました。例えば今回参加しているaaronmaxwellとかMelodiesinfonieあたりの海外勢は、普段そんなに誘ってもコンピに積極的に参加してくれるようなアーティストではないんですよ。aaronmaxwellはSP404の使い手としてカリスマ的な存在なんだけど、EN-Tokyoの参加メンバーでもあるYAGIがL.Aに行った時に彼の家に滞在していたという”縁”があったところで繋がったんです。

━━━そういう本当に草の根の交流から始まっているんですね。

他にも、Lidlyが所属しているベルギーのレーベル”Urbanwaves”所属のアーティストだったり、あとは来日した時に一緒にレコードを掘りに行った事のあるアーティストに声をかけたりだとか。EN-Tokyoのコアメンバーの5人くらいで相談して、こういうコンピレーションなら誰々を誘おう、みたいな感じで広げていきました。良いコミュニケーションが出来たし、結果完成したものも音としてまとまりが出来てるんじゃないかなと思います。

━━━参加者同士でビジョンを共有出来ているという感じですね。今後EN-Tokyoではフィジカルでのリリースは考えていますか?

今後海外との縁を発展させて海外のMCやアーティストとのコラボ企画、盛り上がりによっては12inch等のフィジカルにも繋げて行きたいと思っています。

━━━音のヤバさをシェアするきっかけさえあれば海外だろうがゼロ距離ですぐに話が出来るというのがビート系のサウンドの強みですね。むしろ国内でのコミュニケーションの方が、前提となるコンテクストが複雑な分断絶が多く、海外とのやり取りの方がシンプルに音で繋がれる分、ダイレクトであるようにさえ感じます。

ただしみんながみんな『ビート系』っていう自意識を持っている訳ではもちろんなくて、単にインストゥルメンタルのヒップホップをやっているだけ、という人もいるだろうし、それぞれのアーティストで方向性にももちろん差異はあるんですが。個人的には、「新しくて良い音楽が集めたい。」っていうざっくりした気持ちですね。そういう意味では3年前にYel-Owe Recordsで作った『We Got It』に比べても、新しい”今”の音になったのでは、と思います。pigeondust_1