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「絵と美と画と術」修了生座談会

「絵と美と画と術」修了生座談会


参加者:ますこえり(1期生)、渡部 剛(2期生)、木内創土(4期生)、浦川彰太(4・5期生)、大場 綾(6期生)、岡 修平(7期生)
進行:木村奈緒(美学校スタッフ)
写真:皆藤 将(美学校スタッフ)
収録:2016年7月15日 美学校にて


今年で8期目を迎える「絵と美と画と術」。メイン講師3人、不定期参加の講師が3人と、総勢6名が講師を務める、美学校でも最多の講師数を誇る講座です。講師6人の講座ってどんな講座?「絵と美と画と術」って不思議な講座名だけど何をやってるの?など、実際に講座を受講した修了生に集まっていただき、お話をうかがいました。

 

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今回お集まりいただいたみなさん

 

――まずは、自己紹介をお願いします。

ますこ 1期のますこえりです。イラストレーターをやっています。以上です(笑)。

渡部 2期の渡部剛です。コマンドNという会社で働いています。街中でアートイベントを開催したり、ビルをリノベーションしたり、いろいろやっています。

木内 木内創土です。4期生です。ずっとバイトとインターネットをやっています。

一同 (笑)。

 

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写真左から、ますこさん、渡部さん、木内さん

 

浦川 浦川彰太です。僕は4期の秋に入って、5期まで受講しました。今は、求人広告サイトで文章を書いたり、フリーでデザインの仕事をしたりしています。

大場 6期の大場綾です。入ったときは社会人兼イラストレーターで、今は社会人兼アーティスト……かな?いろいろやる人です(笑)。

 7期の岡修平です。今年の3月にムサビ(武蔵野美術大学)を卒業して、今はバイトをしながら主に立体作品を制作しています。

――浦川くんもムサビでしたよね。

浦川 ムサビの視デ(視覚伝達デザイン学科)です。

 

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写真左から浦川さん、大場さん、岡さん

 

美学校を知ったきっかけ


――みなさんが美学校を知ったきっかけを教えていただけますか。

渡部 僕は美大卒じゃないんですけど、美術をやりたくて神保町の画材屋さんで長いこと働いてたんです。店頭のラックに美学校のチラシが毎年置かれていて、美学校を知りました。そしたら、たまたま大学の後輩が「絵と美と画と術」に入って、ますこさんと同期になって。それで面白そうだなと思って僕も受講しました。

ますこ 私も美大ではなく普通の大学を卒業して、4年間は印刷会社で働いていました。子どものころから絵は好きで、ゆくゆくは絵を仕事にしたいと思っていたので、食べていけるかわからないけど、まずはやってみようと会社を辞めて。美学校のことは赤瀬川原平さんの本か何かで知っていて、気になって見学に行ったら、藤川さん(美学校校長)に「今度、ちょっと変な授業が始まるんだよ」って言われて。講師の佐藤直樹さんのことは以前から知っていたこともあり、これしかないと思って受講しました。

大場 私も国文科卒なんですけど、絵はもともと好きでした。大学のときから赤瀬川さんがものすごく好きで、赤瀬川さんを通じて美学校の存在は知っていました。ときどき行きたい波が来ては都合が合わず断念していたんですけど。30歳のときに「イラストレーション青山塾」という学校に通って、最初は楽しかったんだけど、みんなイラストレーターで、狭い世界で完結してしまってつまらないなと思い始めたころに、あるグループ展で水野健一郎さんの絵に出くわしてすごい衝撃を受けまして。それまで水野さんのことは全然知らなかったんですけど、ちょうどご本人がいたので挨拶して、そしたら美学校で教えていると。これはパズルがそろったぞみたいな感じで(笑)。仕事がちょうど一区切りついたこともあって、今だと思って受講しました。

 

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岡 僕は、大学の同期の子が「デザインソングブックス」の1期に通っていたので、なんとなく美学校のことは知っていたんですけど、大学の構内に美学校のチラシが捨ててあるんですよ。

――捨ててある?置いてあるんじゃなくて。

 喫煙所とかに入学要項が捨ててあって(笑)。なんだろうと思って拾って読んでたら、のちのち浦川くんと知り合ったときに「それは俺の作戦だ」って言われて。

浦川 捨ててないですよ。置いてたんです(笑)。

 誰かがいらなくなって捨てたんだろうなと思ってたんですけど。それで浦川くんが「絵と美と画と術」の修了生だって知って、いろいろ話を聞いたら面白そうだったので見学に行って、修了展も何講座か見に行ったんですけど、やっぱり「絵と美と画と術」が一番面白そうだったので受講したという流れです。

――浦川くんとしては狙い通りなわけですね。

浦川 喫煙所にチラシを置く方法は、実は僕も4期の三ッ間菖子さんに教わったんです。三ッ間さんは予備校時代からの友だちで、三ッ間さんを介して美学校を知りました。それで、美学校で開催された水野さんとピュ~ぴるさんのトークショーに参加したのがきっかけで通ってみようかなと思って。そこからいろいろ洗脳されていった感じです(笑)。

 

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ピュ〜ぴるさんをゲストに迎えたトークイベントの模様

 

――洗脳(笑)。木内くんはいかがですか。

木内 そもそも、小学校3年生からずっと引きこもってて、中学はほとんど出席しなくて、高校にも進学しなかったんです。美大に行きたい気持ちはあったので、19歳くらいのときに大検をとったんですが、ずっと家にいてバイトもしたことがないから美術予備校に行くお金を用意できなくて。大検をとってから8年くらい何も動いていない状態だったので、いい加減どうにかしないと、と思って、前にどこかで名前を見かけた「美学校」をインターネットで調べてみたんです。予備校より安い授業料で通えるし、ここなら受け入れてくれるかもしれないと思って入りました。はじめて欠席しないで通いました。

渡部 なんでこの講座だったの?

木内 説明会で佐藤先生とマジック・コバヤシさんに、これまでの経緯を話したら「来たほうがいい」って言われて自動的に……。

一同 (笑)。

 

「絵と美と画と術」に決めた理由


――すでにお話いただいた方もいますが、「絵と美と画と術」に決めた理由について教えていただけますか。

 大学は建築学科だったんですけど、模型しか作らないリアリティのなさが気持ち悪くなってしまって。最終目標は模型で、その先に何があるんだろうと。ただ、大学3年のときにインスタレーション専攻のゼミをとって、自分は表現をしていきたいとなんとなく思うようになりました。僕は、本で勉強できるアカデミックなことと同じく、肌感覚も大事だと思っていて。大学だと、アウトプットを通じて肌感覚を得るというか、手を動かしてなんとなく分かってくる。だけど、インプットで得る肌感覚も大事だと思うんです。大学で学んでいると、権威的なものに目が行きがちだけど、小さいギャラリーでもすごく面白い人がいたり、それこそ浦川くんとか美学校に行ってる友だちと話すことで得られるものがある。「絵と美と画と術」でもそういう勉強できると思ったので選びました。

渡部 最初に知ったのが「絵と美と画と術」だったっていうだけの理由なんですけど、他の講座だったらたぶん入ってないと思うんですね。美学校って、アンダーグラウンドなイメージがあるじゃないですか。正直、美学校の人たち、ちょっと怖いなって未だに思っていて。

ますこ 私もわりと苦手(笑)。

一同 (笑)。

渡部 イメージですよ(笑)。実際しゃべるといい人ばっかりなんですけど。僕の場合は、後輩が受講していたのもそうだけど、講師が複数いたのは大きいです。一人の先生について勉強するのがぜんぜん向いてなくて。その人と合わなかったら最悪じゃないですか。だから、講師が複数いると楽だなと思ったのは大きいですね。

浦川 僕は、三ツ間さんに紹介されたのが「絵と美と画と術」だったのが一番大きいかな。ただ、そもそも入りづらさはあって。

一同 (笑)。

渡部 その入りづらさがいいと思うんですけどね。

浦川 美大のグラフィックデザイン科にいると、プライドが高くなりがちというか。だから、美学校は全部が衝撃で、そこに面白さを感じました。あと、トークショーのあとで佐藤さんにめちゃめちゃ熱く語られた記憶があります。美学校の前の学長の言葉かな、「学ぶんじゃなくて盗め」みたいな文章(美学校基本構想)ありますよね。あれをちゃんと読めって言われて。「これだぞ。美大なんか行ってる場合じゃなくて、これをここでやれ」「こんなすごい文章を君は読んだことがあるか?」「ないです」「なら入れ」みたいな。佐藤さん、たぶんすごい酔ってたんですけど、「はい」って言っちゃったんで入りました。

 

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講座の内容


――「絵と美と画と術」って何をやっているか謎なんですけれども(笑)、講座では何をやっているんですか。

渡部 意外と毎週の課題が大変でした。前半は課題ばっかりやってた記憶があります。最初にマインドマップを描いて、その後、模写してきてください、写真を撮ってきてください……と、毎週やっていたような記憶があるんですよ。

――マインドマップってなんですか?

渡部 興味のあることを紙に書いてつなげていくんです。これが自意識との戦いなんですよ(笑)。マップを見るとその人がどういう人なのか、趣味とか傾向が分かるじゃないですか。それで自己紹介代わりにやってるみたいです。

ますこ まず最初にやりますね。

大場 ひとりひとり丁寧に見るから2週にわたったりもします。

――講師が複数名いますが、それぞれどんな授業なんでしょう。

木内 都築潤さんは、ほとんど授業には来れないんですけど、都築さんの回は絵を描く授業をやりました。シルエットの中身を描く「ハメ絵」とか。実技的な授業で面白かったです。

 水野さんの紙芝居課題はやってて辛かったですね。

一同 辛かった(笑)。

 

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受講生による紙芝居

 

水野 水野さんの『仮想世紀エレベーション』っていうアニメーションの設定資料から、キャラクターを3人選んで、自分のオリジナルキャラクターを1人作って、その4キャラクターを使って紙芝居を作る課題です。パソコン作画の人もいたりして、みんな全然違う紙芝居ができました。面白かったですけど、完成させるのは難しかったですね。

――出来た紙芝居をみんなの前で読むんですか。

 そうです。その様子を水野さんがだいぶ遠い机の先から動画で撮影している。

――課題の狙いはなんでしょう?

大場 人の絵に合わせる不自由さから生まれるもの……ですかね。水野さんのキャラは水野さんのタッチで描かなきゃいけないし、オリジナルキャラも世界観を合わせないといけないので。

 本来の設定とは全然関係ない流れにする人もいれば、設定に沿って掘り下げる人もいて、記憶に残ってますね。

――1期のときはいかがでしたか。

ますこ 後期からはどうやってこの授業を終わるかの話になりました。9月、10月くらいから、何をやっても「ああ、ふぅん」みたいな感じで低迷しちゃって(笑)。1期の頃は先生たちも忙しくて来れないとかいろいろあって、良くない空気が出てきたので、鍋やらない?って生徒から提案して鍋をはじめました。鍋をやってこの雰囲気をどうにかしようと。やってみたら鍋いいねぇ!ってなって。……これは載せない方がいい話かもしれないけど(笑)。

浦川 僕、4期の秋から入ったんですけど、半年間ほぼ鍋だった。にんじんの切り方はこうじゃないとか。

木内 持ち回りで鍋当番を決めて、スーパーに食材を買い出しに行って鍋を作る。出来合いのスープはできるだけ使わないで。

――鍋は今もやってますか。

 やってます。

渡部 ずっと手を動かしている講座じゃないから、そういうのがあるといいんでしょうね。「絵と美と画と術」は、ひたすら話している講座ですよね。

 ほとんど話してたイメージです。でも、話す内容は決めずにしゃべりますよね。今日はこういうことをやりますって言ってそれに沿って話すことは全然なくて。

渡部 全然ないね。決まってたとしてもすぐスライドしていくから。

 すぐに脱線していくんですよね。美術の話をしていても、ファッションデザイナーの名前がでてきたらファッションの話になったり。枝分かれした枝が幹になっていくというか。結局全部本筋で、まとまりはないけど全部面白いんです。詳しいことは自分で調べろって感じだけど、ニッチなところに触れてくれるから深まりますね。

 

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木内 マジックさんも佐藤先生も、全員ものすごく美術の知識もデザインの知識もあるので、どんな名前や話題を出しても必ず拾って返してくれるし、大友克洋とか漫画の話もできます。ぜんぜん遠慮しないで自分の気になる固有名詞を出せて、知らなかったことにどんどん話が広がっていく。

渡部 たいてい話せるよね。政治の話もしてたしね。

木内 あと考現学とかも。

大場 でもやっぱり、グラフィックの話が一番盛り上がってたかな。7期の修了展ですごい印象的だったのが、グラフィックの話になると先生たちが燃え上がってたこと(笑)。

渡部 あと、受講生の展示でいろんな人と知り合いになるんですよね。受講中に、各々の展示とか知り合いの展示に行くことが多くて、そこで出来たつながりが結構今につながっているかもしれないですね。

木内 倉本美津留さんっていう構成作家の人のライブに行く授業があって、なぜか最後に倉本さんのバックで受講生がライブドローイングをさせていただくことになって。そういう経験も面白かったです。

 

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受講生と講師について


――一緒に受けている受講生はどんな人がいますか。

木内 4期は、美大生もいれば、文化服装学院の人や、ぬいぐるみを作っている人もいました。それぞれ違うけど、「絵と美と画と術」に興味を持って集まってくる感じです。

 7期は美大生が多くて、現役美大生3人、卒業生が1人、フリーのイラストレーターが1人。あとは社会人の方と、後期から入ってきた人は建築学科だけどグラフィックをやりたいと言って、今は都築さんが教えている大学のグラフィックデザイン学科に編入しています。美学校以外のところで勉強していた人が多かったですね。たまたまですけど。

ますこ 1期は10人くらいいたけどいろいろでした。平均年齢は20代半ばから30すぎくらいかな。ダンスやってる人も、デザインやってる人もいたし、四国の小さな美術館で副館長をやっていたっていう人もいましたね。

――講師のみなさんは、どんな方々ですか。

ますこ マジックさんは酔うとめんどくさいですけど、一番面倒見がいいですね。

渡部 佐藤さんがお父さんで、都築さんがおじさんで、イケさん(池田晶紀)がお兄ちゃんで、水野さんがいとこで、小田島等さんが先輩で、マジックさんが……友だちみたいになってるな(笑)。友だちって感じでもないかな。

ますこ 私は、マジックさんはお母さんぽいなって思ってたけど。

大場 割烹着似合いそう。

――ああいうおばちゃんいますよね(笑)。

ますこ 佐藤さんは、1期のときはお父さんぽかったけど、最近は少年ぽいなって感じます。講師が全員男性なんですけど、女性は物事を感覚的に捉える傾向があって、男性は理屈っぽいというか、デザイン史とかイラストレーション史とかを軸に話すので、そこはちょっと違うのかなって最近気づきましたね。1期のときはそこにも気づかずに、私が無知だから悪いんだと思ってて(笑)。そういう論理的な思考ももちろん大事なんですけど、でも男女の違いはやっぱりあるから、一人ぐらい女性の講師がいてもいいのかな、とも思います。

 

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講座を終えて


――みなさん講座を終えられて、転職したり、やりたいことに結びついたり、大学生から社会人になったりしたわけですが、講座での体験が今にどう結びついていますか。

木内 僕は卒業したあと、一応漫画でジャンプの賞に入賞はしたんですけど、まだデビューもしてないし活躍してないです。だけど、4期のときに初めてTAT(※1)に参加して搬入や設営をしたり、授業でもいろんな展示を観に行く機会があったので、展示に関してのノウハウや経験は身につきました。水平の取り方とか。

渡部 水平は大事だね(笑)。

――木内くんは漫画を描きたいんですよね。漫画を描くうえで「絵と美と画と術」で学んだことはどう生きてきそうですか。

木内 美術とかデザインとか、漫画以外のことも広く見られるようになったので、漫画のことだけ考えて漫画を描くよりも、いろいろひねりをきかせられるかなって思います。

 

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佐藤直樹さんの板書

 

浦川 さっき、「絵と美と画と術」は話すことが中心の講座って話がありましたけど、それが今に生きている気がします。美大は自分の所属している学科内ですべてが成り立つシステムで、他学科と関係性を持たなかったり、視点が外に向きにくい環境ですけど、「絵と美と画と術」に入って半ば強制的に自分の意見を言ったり、何者か分からない人に対しても話す機会が生まれたことで、話すことに対する柔軟性がめちゃめちゃついた気がします。美大の卒業制作も、地元の方80人くらいに取材してインタビュー集を作ったんですけど、元をたどると、誰に対しても興味を持てるっていう、美学校で培った視点があるのかなって。インタビュー集を通じて就職もできて、今は日本中の独特な会社にインタビューしに行って、会社の魅力を文章にしています。既存の属性に当てはまらないことでも興味を持って向き合う感覚が、今の仕事につながっているのかな。美学校でそういう感覚を手に入れた気がします。

――美大にだけ行ってたら、あの卒制は作らなかったかもしれない?

浦川 そうですね。やっぱり美大特有の匂いみたいなものは強くて、個人的には美大というカテゴリーの面白さがいまいち消化しきれなかったので、「絵と美と画と術」で美大以外の面白さを知れて、その面白さを美大に還元することで美大の面白さも知れたのは良かったです。美大に行ってモヤモヤしてる人とか、これでいいのかなって思ってる人にとっては、何か手がかりがあるかもしれないです。何より鍋が良かったですね(笑)。5期の受講生は、30代後半から先生と同い年くらいの人もいて。40代の人にハッキリ物を言えるかどうかのハードルを乗り越えるのは、デザインうんぬんよりも勉強になった気がします。

 

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大場 私は、立岩さんと堀田くんという受講生に出会えたのが印象的ですね。立岩さんは何でもぶち込んで自分のインスタレーションを作っちゃう人で、何でも使って表現していいんだって衝撃を受けました。逆に、堀田くんは「絵」をものすごく考えた結果、すごいものを打ち出してきて、絵だけでもすごいことができるんだなという衝撃があって。美学校に入ってなければ出会えなかったふたりに会えたのはすごく良かったです。

――タイプの違うふたりに出会って、大場さん自身はどう変わりましたか。

大場 最初にイラストレーションの学校に行ったので、イラストレーションをやらなければという縛りがあったんだけど、それがすべて解けました。美学校は、水野さん以外誰も私のことを知らないから、自分丸出しで行ったんですけど、受け入れられたので、これでいいんだなと。自分の興味のあることにだけに熱中して幸せそうな佐藤さんとかマジックさんみたいな大人を見て、これでいいんだって。稼ぎは別として(笑)。

 

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 フットワークは相当軽くなったと思います。いろんなことを知って、いろんな場所に顔を出す機会が増えるので。美学校にも展覧会のフライヤーがたくさん置いてあるし、ちょっとでも興味のあるものは行くようになりましたね。それと、さっき浦川くんが誰にでも喋れるようになったと話してましたけど、逆に僕はもともと喋れると思ってたんだけど、「絵と美と画と術」で話すことの重みを知ったというか。あれだけの人と同時にひとつの話題を共有することは大学ではまずないので、その感覚が面白かったです。あと、一時期卒制が忙しくて1ヶ月くらい美学校に来なかったときがあって。その頃は卒制の方が面白くなっちゃって、正直美学校で勉強したからといって自分の作品が変わるわけでもないし、美学校に行く意味が分からなくなったんです。だけど、久しぶりに美学校に行ったら小田島さんと話が弾んで、言葉で言い表せないですけど、これだ!という感覚がありました。抽象的で申し訳ないですけど、その感覚のまま修了展も作りあげていけたのがすごく良かった。自分で制作、展示するときのスタンスがそこで固まったし、どうやったら展覧会として成立するかも考えられるようになったので、そういう意味では相当プラスになったと思います。

 

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渡部 ほとんどみなさん言ってくださった感じですね。僕は、入る前と修了したあとで作品は変わってないんですよ。むしろ、佐藤さん、マジックさん、都築さん、小田島さん、イケさん、それぞれの見方を知って、何かを見る視点が広がったことの方が大きくて。先生が複数いるってことは、モノの見方がいっぱいあるわけです。何を学んだかと聞かれると答えるのが難しいんだけど、いろんな見方を知ったり盗んだりしたことのほうが、影響が大きい気がします。あと、「絵と美と画と術」がきっかけで、受講生や先生、美学校の人たちと仕事でも関わるようになりましたね。

 

受講を考えている人へのメッセージ


――最後に、これを読んでくださってるであろう、「絵と美と画と術」に入ろうか迷っている人、興味を持っている人へ、メッセージをいただけますか。

浦川 僕が美学校を知るきっかけになった三ツ間さんのツイートを紹介させてください。「きのうは久しぶりに美学校の「絵と美と画と術」に顔を出しました 個人が思ってることをテーブルにのせてみんなで延び延び培養しつつ脱線しつつ?話せる場はやっぱり貴重だなと思いました」っていうツイートです。社会に出ると、くだらないこともちゃんとしたことも時間をかけて話せる場ってなかなかなくて。そういう意味で、良くも悪くもひとつのことについて大人が真剣に話せる「絵と美と画と術」のような場は貴重だと思います。一回見学に来てみてほしいです。

木内 「絵と美と画と術」は先生が遠慮しないで話しているので、こちらも遠慮しないでデザインとか漫画とか、なんでもいいけど興味があることを話せます。しかも、その話だけで終わらず、根本的なこととか本質的なことに話を広げて話してくれるので、表層的な話じゃなくて、突っ込んだ話ができる。講師の人がいっぱいいるので、中途半端なところで終わらないというか、しっかり付き合ってくれるところがすごいです。

渡部 鍋ですよ、鍋。みんなが持ち寄ったものをボンと置いて、鍋をするっていうことなんですよ、授業自体が。

一同 (笑)。

 

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大場 あんまり自分をかさ上げしないで来ればいいんじゃないかな。立派じゃない状態で来てください。

ますこ そうそう、おしゃれじゃなくていいんですよ(笑)。イラストレーターの人って、みんなおしゃれなんですけど、私は美学校のような場所がすごい落ち着くというか。どこにも所属はしたくないので、美学校にも所属してるつもりはないんですけど、飾らなくていい感じがいいですよね。

 確かにそんな感じはあります。みんな、主軸となる職業なり共同体があるじゃないですか。だから、美学校や「絵と美と画と術」は、その別枠としてあったらいいのかなって思ってます。美学校に来てダメだったらもうダメとかじゃなくて、頭の違う部分を使うくらいの気持ちで来れる、そういう気楽さが美学校にはあると思うので、悩んでるなら来てみればいいのかなって思います。

 

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講師のマジックさんと水野さんが登場
写真左奥がマジックさん、右奥が水野さん

 

渡部 せっかくだからマジックさんと水野さんにも聞きましょうよ。これを読んでいる人にメッセージをお願いします。

マジック 受け手がどう捉えたかがすべてだと思うんで、受講生に何かを与えてるとは思ってないです。会話ってそういうことじゃん。聞いた人がどう感じたかでしかないんですよ。だから、別にオレがどうしたいとかはそんなにないです。いくらか長く生きてるぶん、伝授できるんだったらしたいなと思ってて、それだけですね。

水野 俺もそうだね。自分が持っているものを出来るだけ伝えたい、みたいな気持ちだね。友だちには絶対伝えないけど。

一同 (笑)。

――最後に講師の方からからもコメントいただけて良かったです。今日はありがとうございました。

一同 ありがとうございました。

 

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今期の授業が行われている教室で集合写真

 


※1 TRANS ARTS TOKYO
東京都神田錦町の旧東京電気大学跡地を拠点に、2012年から毎年開催されているアートプロジェクト。空きビルなど都市のさまざまな空間を活用し、コミュニティに根ざしたプロジェクトを展開。美学校の受講生や修了生も、展示やパフォーマンスで参加している。http://www.kanda-tat.com/

修了生の情報
ますこえりさん
・展示情報:ますこえり個展@台湾  Have A nice 479(台北)
・WEBサイト:www.mascoeri.com

大場綾さん
・WEBサイト:http://www.kusamura.com

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