特別講座「未来へ号」で行く清里現代美術館バスツアー!



「社会彫刻」を掲げたヨーゼフ・ボイス、「生活の芸術」を訴えたジョージ・マチューナスらの作品をはじめ、主に欧米の個人コレクションを展示する美術館として1990年に開館した清里現代美術館。
国内では数少ない現代美術専門の美術館でしたが、今年4月のニュースで、同館の閉館が発表されました。
伊藤信吾さんが中心となって集められた作品・資料、そしてなによりその情熱に満たされた美術館を体感できるのは今しかありません。上述の美術動向や個人美術館の運営という問題について、私たちは今一度再考する必要があるのではないでしょうか。
「未来へ号」へ乗り込んだみなさんで、観て、聴いて、語ることが、これからの芸術について考える手がかりになるはずです。


 ゲスト講師 楠見清コメント

清里現代から未来へ──アートの里帰りへの招待
1990年の開館以来、清里現代美術館のすばらしいコレクションは、日本の現代美術愛好家、そしてひろくアートにかかわる人に多くの啓示(インスピレーション)を与えてきた。若い人のなかにはこの美術館のことをよく知らない人もいるかもしれないが、それでも、あなたの好きな作家や作品を通じて間接的に影響を受けている。そのことは、この美術館を訪れてみればきっとわかるだろう。いまを生きるアートの父や母にあたる作品に出合えるはずだ。
その事実を──私たちは長大な美術史の鎖のひとつを担っているということを──その目で確かめてもらうために、今回のバス・ツアーは計画された(ちなみに、芸術家によるバス観光ツアー・イヴェントはフルクサスの十八番のひとつでもある)。未来芸術家=遠藤一郎は、2009年「ボイスがいた8日間」展の開催期間中、水戸芸術館で〈ほふく前進〉パフォーマンスを行なったことがある。社会彫刻家=ヨーゼフ・ボイスが芸術と現実の狭間で切り開いた足跡をたどり、さらにその先の〈未来へ〉と進む遠藤一郎が自らハンドルを握る〈未来へ号〉に乗って、この夏私たちはアートの父母の待つ実家へと里帰りをする。その日初めて観るのになぜか懐かしい、そして、過去の作品なのに現在よりずっと先駆的……そんなコレクションとの最高の出合いの経験を、さらに明日へ伝える者たちよ、ゲット・オン・ザ・バス(バスに乗れ)!


 講 師:遠藤一郎
ゲスト講師:楠見清
日 程:2014年8月30日(土)
時 間:9時美学校集合/9時30分美学校出発、21時美学校到着・解散
    ※ 交通状況により変動する可能性があります。
参加費:2000円+ガス代、高速代実費(1500円程度)
    ※ ツアー中の飲食代、入館料等その他費用は参加費には含まれません。実費となります。
定 員:14名
主 催:美学校
協 力:island JAPAN株式会社
企 画:青木彬
講師プロフィール


遠藤一郎
1979年、静岡県生まれ。未来美術家、island JAPANプロデューサー、多摩川カジュアルデザイナー、DJ。
車体に大きく「未来へ」と描かれた、各地で出会った人々がそのまわりに夢を書いていく『未来へ号』で車上生活をしながら全国各地を走り、「GO FOR FUTURE」のメッセージを発信し続ける。
アートイベントで展示やパフォーマンスを行うほか、現在、凧あげプロジェクト「未来龍大空凧」を各地で開催。2012年から、日本列島にメッセージを描くプロジェクト「RAINBOW JAPAN」を立ち上げ、日本列島を縦断、日本全体を勇気づけるメッセージを描く。
主な参加イベントに「別府現代芸術フェスティバル2009 混浴温泉世界」わくわく混浴アパートメント、「TWIST and SHOUT Contemporary Art from Japan」BACC(バンコク)、「愛と平和と未来のために」(水戸芸術館)「六本木アートナイト2012」(六本木ヒルズアリーナ)他。2008年から『美術手帖』(美術出版社)連載。

楠見清(美術評論家/編集者)
1963年生まれ。美術書の編集者として仕事を始め、『美術手帖』副編集長、同編集長、京都造形芸術大学客員教授を経て、現在、首都大学東京システムデザイン学部インダストリアルアートコース准教授。著書に『ロックの美術館』、共著に『現代アート事典』などがある。清里現代美術館は書籍『アート・ウォッチング 現代美術編』でヨーゼフ・ボイスとドナルド・ジャッドの作品の撮影取材で訪れて以来20年ぶりの訪問。遠藤一郎とは「七人の小侍+1」展(2005年)をディレクションしたときに会田誠を介して知り合って以来大ファンに。その他、靉嘔(あいおう)と長く親交がありフルクサスの研究を長く続けている。