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講師インタビュー/西村陽一郎(写真工房)

講師インタビュー/西村陽一郎(写真工房)



━━━写真工房では一年を通してどのように授業を進めていくのでしょうか?

西村 まずは暗室に入って光でものを描いていくということから始めます。一通り暗室作業ができるようになってからも、僕がテーマを出して具体的に何かを撮ってこさせるということはしません。

大切なのは、その人が撮りたいと思うものをなるべくたくさん撮って、たくさん写真にすることです。

━━━こんな人に写真工房に来てほしいとか希望はありますか?

西村 うーん…やはり写真が好きな人ですかね。

━━━例えば、大島君(インタビューに同席していた生徒)は、美学校に来た時、写真の初心者でしたよね。

大島 僕は美学校に来るまで写真を撮ったことがなくて、授業が始まってからカメラを買って、写真工房で色々と教わりました。カメラは全くの初心者だったんですが、しっかりと教えてもらえました。

西村 彼が来た時はカメラを持ってなくて、初めてカメラを買ったのは授業が始まって一ヶ月ぐらいしてからでしたね。銀座に一緒に買いに行ったんです(笑)。

━━━フィルムのカメラを扱うのが初めてという人でも、少しずつ写真を学んでいけるということですか?

西村 はい。そうです。まずはフォトグラムといってカメラを使わない写真から始めます。

━━━最近ではカメラもフィルムではなくデジタルが主流になっています。そういった中で、デジタルと違った銀塩(フィルム)の楽しさ、面白さというのはどのようなところなのでしょうか?

西村 本当はいけないんだけど「あぁやっちゃった!」というようなことがたまにあることかな(笑)。でも、そういう時に結構面白いものができたりする。

━━━僕はそこまで銀塩について知らないのですが、デジタルよりも銀塩の方が、光をより直接的に意識して作業できるのかな、というふうに思います

西村 暗室体験が光に対する感覚を繊細にしてくれるのかもしれませんね。デジタルカメラを持っている時と、フィルムカメラを持っている時とでは、全然見えてくるものが違います。

━━━写真工房ではデジタルで撮って作品を発表している方はいらっしゃるんですか?

大島 デジタルで加工している人は去年いましたね。サイアノで。

西村 そうそう。青写真の古典技法もやるんですが、それを利用して、韓国からの留学生がデジタルの技術を使い作品を発表していました。

━━━韓国から留学生も来ているんですか?

西村 はい。去年美学校に来ていて、今年からは日芸に入ったそうです。

━━━大島君は写真工房に入って何年目でしたっけ?

大島 4年目ですね。

西村 最初はすごいシャイで、今もそうだけど(笑)。全然喋らなかったよね。

大島 はい(苦笑)。

西村 でも、美学校は年齢層が幅広く、色んな人がいるから、結構可愛がってもらっていたよね。別に彼が恥ずかしがり屋であまり喋らないから「エー」みたいなことは全然無くて、自然に溶け込んでいきましたね。

大島 美学校に入ったのが高校を卒業した18歳の時です。

西村 僕も18歳で写真工房に入り4年間いました。僕の場合は写真工房だけだったんですけど、彼は毎年、絵画や石版、銅版、漫画もやっていました。写真も続けながら色々な分野をやれるというのはいいよね。美学校に来ると周りで自然に版画をやってる人がいたり、デッサンをやってる人がいたり、事務局で足を上げて寝ている人がいたり、お酒を飲んでいる人がいる(笑)。他の講座は受けてなかったけど、そういった雰囲気が知らず知らずに自分を支えている、と言うと大袈裟かもしれないけれど、自分を育ててくれたのではないかと思います。

━━━西村先生が美学校に入ったきっかけはどういうものだったんですか?

西村 実は僕は入る数日前まで美学校というものを知らなかったんです。17歳の頃に映画の撮影スタッフとして、山梨の山中で昆虫映画を撮っていたんですが、その助監督が写真好きで、僕が写真に興味があるというのを聞いて、「それなら丁度いい所がある。」ということで、美学校を教えてくれました。

その時はまだ映画の撮影で山梨だったので、ラッシュを見に月に一回ぐらいしか東京に戻ってきてなかったんです。それでラッシュを見に来た時に、その助監督が教えてくれた番号に電話をしたら、久間さんが出て、「ちょうど明日写真の授業だから、見学にいらっしゃい。」と。事務の久間さん知ってます?(笑)

━━━はい、もちろんです(笑)。

西村 その時に水道橋駅から美学校までの道も教えてくれました。数日後にはまた山梨に帰らないといけなかったので、丁度いいやと思って美学校に来たんです。


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