【2022年度募集なし】描く日々 佐藤直樹+中村寛


定員:12名
日時:毎週木曜日 19:00〜22:00
学費:330,000 円 教程維持費:10,000円(年額)
開催教室:本校


「描く」ってどういうことでしょう。時代や場所によっても異なります。この講座ではそこのところをできるだけ広げて考え、実践し、各自の力にしてもらいたいと思っています。そのために、実技はもちろん、人類学や哲学にも触れながら学びます。

人類の歴史は長く世界は広いので「こんな描き方は自分と関係ない気がする」と思うこともあるでしょう。けれど、今何らかの描き方が流行っているとして、あるいは優れたものと認められているとして、そこに反応していても、過ぎ去るものがほとんどです。だからこそ急いで上手くなりたいと考える人もいるかもしれません。しかし、上手い下手の話をすれば、その時代その場所で最も上手い人に比べれば講師も受講生も全員が下手です。逆に、どれだけ上手い人にだって学ばなければならないことはあるはずです。問題はそこじゃないでしょうか。

あなたがこの講座を経て何になりたい人かは問いません。イラストレーター、デザイナー、アーティスト、画家などを目指している人。すでになっている人。「仕事に結びつけては考えていないけれど、今はただとにかく楽しみながら絵が描きたい」「子供の頃には絵が好きだったのに学校で嫌いになってしまった」という人。「視覚のロジックを言語的にではなく学びたい」「ビジュアルやグラフィックともっと自然に親しめるようになりたい」といった人。どんな人でも「描く日々」の仲間として歓迎します。

「描く」ことの可能性は無限と言えるほど大きい。私たちはそう思っています。そこには間違いなく上手い下手を超えた何かが存在しています。そのことを目の当たりにして、自分もそこに体当たりしてみたい。それはまずもって私たち自身の願望ですが、集うことによって今まで気づけなかった可能性の多様さに出会うこともできるでしょう。 

授業内容


各自の絵画体験から/絵画以外の表現のこと/どこからどこまでを絵画と考えるか/線について/面について/平面と立体/道具の吟味/模写をする/観察をする/身近なものを描いてみる/「絵になる」とはどういうことか/色について/絵具を選ぶ/夏休みの課題を決める/夏休みの課題の提出と講評/止まっている人を描く/動いている人を描く/植物を描く/動物を描く/建物を描く/街を描く/風景を描く/大雑把に描く/細密に描く/見ないで描く/抽象的に描く/存在するものとしないもの/空間について/記号や文字のこと/冬休みの課題を決める/冬休みの課題の提出と講評/修了展に向けたディスカッションと制作/修了展のための制作と準備/メディアの使い方を考える

講師プロフィール


佐藤直樹佐藤直樹

1961年東京都生まれ。北海道教育大学卒業後、信州大学で教育社会学・言語社会学を学ぶ。美学校菊畑茂久馬絵画教場修了。肉体労働から編集までの様々な職業を経験した後、1994年、『WIRED』日本版創刊にあたりアートディレクターに就任。1998年、アジール・デザイン(現アジール)設立。2003~10年、アート・デザイン・建築の複合イベント「セントラルイースト東京(CET)」プロデュース。2010年、アートセンター「アーツ千代田 3331」立ち上げに参画。2012年、アートプロジェクト「トランスアーツ東京(TAT)」参加を機に絵画制作へと重心を移す。サンフランシスコ近代美術館パーマネントコレクションほか国内外で受賞多数。札幌国際芸術祭2017バンドメンバー。3331デザインディレクター。多摩美術大学教授。著書『無くならない─アートとデザインの間』(晶文社)、画集『秘境の東京、そこで生えている』(東京キララ社)、展覧会図録『佐藤直樹 紙面・壁画・循環─同じ場所から生まれる本と美術の話』(美術出版社)など。http://satonaoki.jp/

 

中村寛

専門は文化人類学。「周縁」における暴力、社会的痛苦、差別や同化のメカニズム、反暴力の試みや芸術・文化運動、ソーシャル・デザインなどのテーマに取り組み、《人間学工房》を通じた文化運動もおこなっている。著書に『残響のハーレム─ストリートに生きるムスリムたちの声』(共和国、2015)。編著に『芸術の授業─Behind Creativity』(弘文堂、2016年)。訳書に『アップタウン・キッズ─ニューヨーク・ハーレムの公営団地とストリート文化』(テリー・ウィリアムズ&ウィリアム・コーンブルム著、大月書店、2010)。多摩美術大学准教授。https://www.ningengakukobo.com/