うたをつくる  細馬 宏通

本教程は2016年度をもって終講しました。


定員 12 名
授業日:金曜日(月1回/全10回+イベント)/午後7時〜午後9時30分
学費:100,000 円 教程維持費:10,000 円(年額)


ことばから歌を掘り起こす

歌を作りたくなったとき必要なのは、美しいメロディを作るセンスでしょうか、あるいはコード進行やリズムに関する知識でしょうか。もちろん、そうしたセンスや知識があれば、ある種の歌を作りやすくなるでしょう。でも、そもそも歌とは、ことばがふだんのおしゃべりから離れていくところに産まれるものであり、歌の産まれ方には、無限といっていいほどの経路があるはずです。この講座ではそうした歌の産まれ方を扱います。

本年度は『作詞』にフォーカスして考えます。
詩を作ることと作詞することとは何が違うのか(違わないのか)、詞にはどのような音楽性が埋め込まれているのか、詞を作る手がかりとなる時間の流れ、ストーリーは何か、既存のメロディに詞をつけるときに何が可能かなど、作詞にとって基本的な考え方について、実際の作詞演習を交えながら考えていきます。
 

【カリキュラム】

・第1回 イントロダクション
詩と詞は何が違うか。詞が先か、曲が先か、同時か。

・第2回
他人の詞をきく
作詞批評(1)既存の曲の詞を分析しながら、曲と詞との基本的な関係を論じます。

・第3回
他人の詞をきく
作詞批評(2)既存の曲の詞を分析しながら、曲と詞との基本的な関係を論じます。

・第4回
短い歌の思考
ブルースと四行詩詞を展開するための簡単な時間構造を考えます。

・第5回
ことばの中の音楽
子音と母音、プロソディなど、ことばにあらかじめ埋め込まれている音楽性について論じます。

・第6回
既存のメロディに詞をつける
メロディに沿う、メロディをまたぐ、メロディで延ばす、という基本的な技術について論じます。

・第7回
詞の成長点
ひとつのフレーズから詞を広げる方法について考えます。

・第8回
人称と人間関係
人称の用い方、略し方を考えながら、ラブソングや彼我の歌を作る方法について考えます。

・第9回
ことばを刈り込む、引き延ばす
ことばを略す方法、あえて無駄を入れる方法について実例を用いながら論じます。

・第10回
訳詞をつくる
メロディと外国語のことばが与えられたときにどのようなことばに置き換えることが可能か。これまでの作詞の考え方を用いて日本語を探索する演習を行います



講師プロフィール

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1960年生まれ。京都大学理学研究科博士後期課程修了(博士:動物学)を経て、現在、滋賀県立大学人間文化学部教授。日常生活の中の身体動作を研究している。また、絵はがき、パノラマ、塔などのメディア史、ポピュラー音楽史にも関心を寄せている。著書に『絵はがきの時代』『浅草十二階』(青土社)、『絵はがきのなかの彦根』(サンライズ出版)、『ミッキーはなぜ口笛を吹くのか アニメーションの表現史』(新潮社)など。バンド「かえる目」では作詞作曲とボーカルを担当。 


〈作曲〉
Kikuchi Naruyoshi

▷授業日:隔週水曜日 19:00〜21:30
楽曲の構造を支える『音楽理論』を学ぶ講座です。魅力的なコード進行が、どのような仕組みで作られているのか?ポップスからジャズやボサノバまで、複雑な響きを持つ音楽の構造を読み解き、使いこなすためのスキルを身につけます。

Takayama Hiroshi

▷授業日:隔週水曜日 19:00〜21:30
楽曲の魅力の源泉ともいえる『メロディ』を作る技術を学ぶ講座です。才能や偶然で済まされがちなメロディの作り方を体系立てて学び、曲作りのスキルを多面的に身に付けます。短いフレーズをつくることから始め、オリジナル楽曲を仕上げていきます。

hosoma

▷授業日:毎月1回開催・全10回
この講座では、普段の『ことば』がおしゃべりを離れ、『歌』になっていくための様々な仕組みを扱います。白紙から歌を作るのではなく、わたしたちが普段用いていることばに埋め込まれた歌の可能性を掘り出していきます。わたしたちは歌を、今よりももっと自由に捉え直すことができるでしょう。