受講生座談会:『美楽塾』とは?


美楽塾に入ったきっかけ〜特別講座「脳と聴覚と感情の関係」


皆藤 本日は受講生のみなさんに美楽塾についてお伺いしていきたいと思います。まずはみなさんが美楽塾を受講した理由を教えてください。

201104bigakko_F

M きっかけは美楽塾の前に開催されたJINMOさんの特別講座「脳と聴覚と感情の関係」です。本当に偶然ネットで情報を知りました。タイトルがとても興味深かったので、JINMOさんのことは何も知らなかったのですが行ってみました。

正直、JINMOさんを最初に見た時は今まで見たことのないような人がいると驚きましたが、講義を聴いてJINMOさんは本質的なことを突く人だなと思って興味を持ちました。「脳と聴覚と感情の関係」は全五回開催されて、私は三回目から参加しましたが、そのまま第四回と最終回の『メトロポリス』のライブ演奏に行ったんです。

JINMOさんは毎回ライブのチラシを配っていたのですが、私は人見知りな上に、あんまりそういうライブに行ったことはなかったので、足踏みして行かなかったんです。けれどもメトロポリスの演奏を聴いてもっと他の演奏も聴いてみたいと思い、恐る恐る六本木で開催されたライブに行きました。そうこうするうちに、という感じで今に至っています。

神戸 私も最初「脳と聴覚と感情の関係」ですね。その時はヒロくん(高橋)がチラシを持って来たんだっけ?元々ヒロくんは美学校に行っていたので、美学校の話は何度か聞いていたし、美楽塾に入る前にも美学校に遊びに行ったことがありました。それで「脳と聴覚と感情の関係」が面白そうなので行ってみたのが最初ですね。JINMOさんのことは存じてなかったんですけど。

皆藤 みなさん「脳と聴覚と感情の関係」に参加したのが最初のきっかけなんですね。高山さんはいかがでしょうか?

高山 僕は最初に美学校とJINMOさんに出会ったのが、地元岡山のペパーランドというライブハウスでした。ペパーランドは美学校の岡山校でもあるんですけど、僕はそこで能勢伊勢雄さんのDJ講座に行っていて、それがすごい楽しくて良かった。
ペパーランドでJINMOさんのライブも初めて見てすごく良かったし、今僕は仕事で群馬県に住んでいるんですけど、都内に出れるので美学校にいつか行ってみたいなと思っていました。そうしたらJINMOさんが授業をするというんで、これは行ってみようと。そんな感じですごい楽しくてそのまま、という感じです。

高橋 僕は音関係が好きで、昔美学校でサウンドのクラスを取っていました。美楽塾を取ったきっかけは、外枠でいうとみんなとあまり変わらなくて「脳と聴覚と感情の関係」からという感じです。

皆藤 「脳と聴覚と感情の関係」はどんな講座だったのでしょうか?

高橋 自分が今まで見て触れてきたものが、意外とフィルタリングされていて、その枠組みの中で見てきたんだな、ということに気付かされたのが最初でしたね。JINMOさんのことは知っていたし、雑誌の連載とかも読んでいたりしたけれど、実際会ってJINMOさんの表現に触れたのはそれが一番最初で、すごい良いもの聞いたなという感じで、そのまま四回参加しました。

M JINMOさんのレクチャーは「美」に対してユニークなアプローチをするもので、美術史や現代美術の動向を追うものではなく、「美」とは何かを問う、まさに求めていたものだと思ってすごく惹かれました。

初回のテスト〜ゲストのセレクション


皆藤 JINMOさんのwebサイトには美楽塾の記録が毎回載っているんですが、それを見ると第一回目が自己紹介をしてテストをしたとあります。インプットをする前にテストって何だろうと思うんですが、テストでは何をしたんでしょうか?

神戸 最初のテストはゲスト講師のセレクトでした。名前がズラーッと書いてある紙を渡されて、会いたい人に点数を付けていく。

高橋 会いたい度数を100点満点で付けていくというテストでしたね。

皆藤 リストにはどんな人が載っていたんでしょうか?知らない人の名前もあったと思いますが、それは説明してもらいながらという感じでしょうか?

高山 そうですね。それと会話の中で出てきた人もいましたね。ある程度の情報を与えてもらった上で、会いたい度数を決めていきました。

皆藤 それで会いたい度数上位の人が、最初の猥談家の住倉カオスさんから始まり、という感じなんですね。みなさんの興味のある方、例えば住倉さんはどうして点数が高かったんでしょうか?

高橋 打ち合わせをしたわけではないんですが、総じてエロいこととかとはすごい点数が高くて(笑)、猥談家と言われたら、あ、これもう100点みたいな(笑)。

高山 点数を付ける時に、男性陣は100点か0点かで、女性陣は点数が混在していたよね。

神戸 すごい会いたい人は1000点とか(笑)。

M 基本的にほとんど知らない方だったんですが、JINMOさんが説明してくれて、この人面白そうだからお話聞きたい、みたいな感じでしたね。

高橋 全員に100点を付けたいぐらい魅力的な人たちのリストだと思いました。最後は自分が会いたい人を書いていいみたいな感じで。

皆藤 それが初回で、その後美楽塾では10時間を超える授業も行っているそうですが、長時間の授業をやるようになったのはいつぐらいからだったんでしょうか?

M 三回目とかじゃないですかね。そのきっかけとしては、帰らなければいけない時間になった時に面白い話題が出てしまったんですね。

神戸 誰も終電の時間に気付かないんですよ(笑)。

M それで終電逃した。で、そのまま延長した後もJINMOさんがずーーーっとしゃべっている(笑)。

皆藤 毎回の授業はJINMOさんがテーマを決めて進められていくのでしょうか。

神戸 基本的にはそうですね。テーマはあるんですけど聞きたいことがあったら聞いて、それでまた戻ってくるという感じですね。

高橋 自分がそういうふうに聞いているのかもしれないですけど、JINMOさんが我々に享受してくれていることは、多分一回目からそんなに変わっていなくて、だから脱線しても結局一つのところに収束していくというところがある気がします。

M 基本的には毎回テーマみたいなものは決められているんですね。それでそのテーマについてお話をしていただくんですが、もちろんそのテーマだけではなくて、こちらがアウトプットしたことに反応して答えてくれるという感じです。

様々な授業〜新たな価値観のインプット


皆藤 今までの美楽塾の授業で特に印象に残った授業を教えてください。

高山 二回目の芸術という概念についての話しはおおっとなりましたね。
芸術という枠があってこれが芸術だというものと、そうではないけどこれは美しいし楽しいみたいなものと。

M 二回目は芸術についてすごく重要な講義でした。こんな重要な話を最初からしてしまうのかみたいな感じでしたね。
芸術は何なのかってわからない中で、表面的じゃなく本質的に芸術って何なんだろうということを考える機会をいただいた、という感じです。

皆藤 サイトの講義録を見ると”芸術とは何なのか?”、”美とは何なのか?”と書いてありますが、芸術と美の違いも話されたんでしょうか?

高橋 芸術というのはある程度概念的なもので、それに対して例えば夕日を見て、ここにいるみんなが奇麗だねと現在進行形で思ったり起こったりしていることとは全然別で、ざっくり言うとそういう現実のものと概念上のものは違うという話しでした。

皆藤 そしてその次の三回目の授業にもテストと書いてあります。

高山 その時は食べるテストでした。飴みたいな、黒いゴム見たいのを食べました(笑)。それを食べて感想を言って名前を付ける。

高橋 感想は見た目と食感と質感に関してがほとんどで、名前に関しては女性と男性で分かれて、女性は何だっけ?

神戸 私は違う意味でとらえてしまって、普通に「グミ」とか(笑)。

高山 「すっぽんにゅるぼん」(笑)。

神戸 あれはリコリスという根っこ?

JINMO まず美味しさの定義が文化圏によって全然違うわけですよ。ある文化圏に行くとこれが人の食べ物かというものがあったりする。今では一般的ですが、海外の人がわさびというスパイスに接して、信じられない、こんなものを口に入れるなんてと思うわけです。納豆もそうですね。

日本でもかつて戦後にコカコーラが入ってきた時に、これは本当に飲み物なのかという反応をした。

味覚というのは、その背負ってきた文化、つまり母親の世代のまたさらにその上のおばあちゃんの世代というように、代々受け継がれてきた一つの継承される価値観としてあるわけです。

それでその価値観を破壊するようなものというのはなかなかないんだけど、それが破壊される瞬間を体験する。自分が今まで先の世代からずっと引き継いできた味覚でこれが食べ物かというものをみんなに食べさせる。

それはオランダでは一般的で、のど飴のような感じなんです。大きく分けるとグミキャンディーですね。リコリスという植物がありまして、日本では甘草といって、根っこの部分がよくて、のどの薬とか龍角散とかに入っているんですね。ただ妙な味がするんですよ。
それがグミと合わさった時に、トイレの芳香剤を食べている印象さえ持つような、これって食べていいものなんですかという変な味なんです。けれどもオランダの人は、おじいちゃんもおばあちゃんも子どももみんな美味しいといって食べている。

私もヨーロッパで初め食べた時に、ものすごい面白いなと思い、それをキロ単位で買ってきたんです。それで日本の友達に食べさせて、反応を見て、とにかく一握り口に入れろと、口の中をあれで一杯にして、出すなっていって口を抑えて、とにかく口の中で全部とかして飲み込めということをやったりしていた。

その反応はとっても面白かったですよ。それをやられた人は慣れちゃって、日本は色んなグミが売られているけど、その利きグミができるようになった。このグミはナチュラルで美味しいとか、これはケミカルだなとか、子ども向けだなとかいうふうなことがわかる人になった。つまり味噌とか納豆で、この納豆はこれこれこうでおいしいとかいうぐらいまでいった。

彼らは何も知らずに渡されて、とにかく口に入れろと、まず見ると真っ黒なわけ、グニグニしていて、JINMOさんが出すんだからトイレの芳香剤じゃないだろうと、口に入れても大丈夫なものだろうと、けどみんな「んっ?」と思う。

その感想を書きなさいと。それでこれに名前を付けるとしたらなんだと。

つまり新たな価値観だから、そこに対して与える名前、名付け方も大事なんですけど、自分の知っているものと照らし合わせて類似点を見いだしていく。

面白かったのが、これの性質を説明するよう名前を書いた人もいれば「すっぽんにゅるぽん」みたいに感覚を言語にして名前を付けた人もいる。それで味覚の新たな価値観を自分の中に入れた瞬間というものを体験したというテストです。

皆藤 それは面白いテストですね。

JINMO 覚えたものを確かめるというのはテストではないと思うんですよ。それよりもテストの結果で、自分はどんなものなんだということをはっと客観視してみれるということがテストだと思う。だから誰に会いたいのかというテストの時に、全員に100点を付けた人もいるし、あるいは三段階にした人もいる。100点満点なのに1000点を付ける人もいる。どれが正解というわけではなくて、自分がどういう点数の付け方をしたのか、どういう人に会いたがっているのかということを客観視してみる。そうすると自分はこうだったんだということがわかる。

初めてのものに触れるというのは貴重な体験なんですよ。一生に一回しかない。そして一生に一回しかない時間を過ごしたいと思うわけですよ。

美楽塾というもの自体が一つの体験であって、それ自体がインプットになる。それは彼らにとってだけでなく、私自身もそうです。

夏の遠足〜マハラジャの超豪華パーティーへ


皆藤 今年の夏にはマハラジャのパーティーに行ったとのことですが、そのパーティーについて聞かせてください。

高橋 JINMOさんは毎日のようにナイルレストランに行っているんですが、僕達が最初にムルギーランチを食べたのはナイルさんがゲストで来た回で、それからみんなそれぞれ行ったりしていました。JINMOさんはギター教室もやっていて、そこに来ている人たちと毎年ナイルさんのパーティーに行っているということで、美楽塾も行きましょうという流れですね。

高山 毎年JINMOさんはそのパーティーの画像をアップしていて、訳わからんなと思っていたんですよ。一応誕生日パーティーなのに花火が上がるし、女装したおじさんがいるし、自衛隊の人もいる(笑)。

M 参加していた人達は、自分が何者かを言わなければ、基本的には愉快なおっちゃんとおばちゃんでした。美楽塾のみんなはセーラー服を着て行き、私は家で試着してこれはダメだと思ったんですけど、行ってみたらむしろ普通でした(笑)。男性二人はモテてましたね(笑)。女性二人を脇において、かわいいねとか写真を撮って良いですかとか言われてたよね。

神戸 おばちゃん達にナンパされていたよね(笑)。

高山 相当されましたね。HARIさんがメイクしてくれて。

HARI ゆうじくんは元々かわいい顔立ちなので、かわいいメイクをしてあげたんですよ。そうしたらモテモテで。ヒロくんはヒゲも生えているんで、土方巽みたいなかっこいいメイクをしたら、かっこいいとかジーザスとか言われたりしましたね。女の子は普通過ぎて、逆に浮いていたよね(笑)。

高橋 あそこにいた人たちの中では男の人の方が激しい人が多かったですね。男の人は網タイツが普通だったし、あの日にかけてる感がありましたね(笑)。

M 普段は真面目なんだろうなという人も気兼ねなく楽しんでいて、誰より一番すごいのが主催者のナイルさんで、めちゃめちゃ気合いの入ったコスプレをしていました。

高山 カレー食べ放題で、世界一美味しいであろう特製のタンドリーチキンもあったし、寿司も食べ放題でビールも飲み放題で最高に楽しかったですね。

高橋 生バンドの演奏もあったりして。

JINMO 庭にステージが組まれていて、演奏したり歌ったりしているんですが、おばちゃん達がその演奏に合わせて、盆踊りかよという感じで踊っていたりするんですよ。去年だったかな、ジェフ・ベックのレッドブーツというかっこいい曲があるんだけど、それに合わせて浴衣を着たおばちゃん達がフラダンスを踊りだして、ものすごいねじれた空間で素晴らしかった。

それでみんなには指令を出して、とにかく一番激しく踊ってステージに上がっちゃえって言ったの。そうしたらステージに上がって、あまりに激しく踊ったから、スカートの中でパンツが破けちゃってね。

神戸 本気でスカートめくり大会をして、普通じゃなさ過ぎて楽しかったよね。

ゲストからのインプット〜広がる世界


皆藤 今までのゲストの中で特に印象に残っている人を教えてください。

M みなさん本当に印象深い方ばかりなのですが、私はいくさばらとれはさんかもしれません。とれはさんは最初のゲストリストには入ってなかったんですが、住倉カオスさん(第五回美楽塾ゲスト:猥談家)がゲストでいらっしゃった時、一緒にファンキーでカッコイイ女性が来ました。その方がとれはさんでした。住倉さん曰くセックスが好きな女性として連れてきただけだみたいにおっしゃっていたんですけど、すごい面白い方だと思いました。

とれはさんはタトゥーや肉体改造をしている人なんですが、実際に目の前で色々と見せていただいたんですね。とれはさんはまさにJINMOさんのおっしゃる天真爛漫に自分の好きなことへ突っ走るということを体現している人だと思いました。世間的に知られている方ではないですがすごい人だなとよくわからないけど感動しました。

ゲストの回は最後にみんな感想を言うんですけど、私は「くやしいです」と言ったんです。すごくくやしくてなんだろうこのくやしさって思いました。もちろんどのゲストの方も素晴らしくて感動するんですけれども、とれはさんの生き様に触れて心を打たれたんですね。

とれはさんはタトゥーをたくさん入れていらっしゃるんですけど、JINMOさんが「どうしてそんなにタトゥーを入れてるんですか」と質問した時に、単純にカッコイイと思ったからと答えられたのがすごい印象に残っていて、タトゥーが入っていることによって、理想の自分に近づけるみたいなことをおっしゃっていたんですね。

でも、タトゥーを入れるにしても普通だったら色々といわゆる世間体を考えますよね。それを「やりたいからやりました」「カッコイイからやりました」と言って、「まだ足りない」「この年でこれだとダメだと思う」みたいなことを言っていて、なんか侍みたいな人だなと思ました。

自分の理想に近づく貪欲さみたいなものがあって、それを天真爛漫に実践している。とにかくカッコ良かったです。

皆藤 例えばMさんは、とれはさんに出会って、自分もタトゥーを入れてみたいと思ったのでしょうか。

M 私は小さいタトゥーでも自分がやりたいとは思わないんですね。でも今まで全然知らなかった世界を知って「こんな世界があるんだ」と目からウロコが落ちるようなことが度々あり、今は知れば知る程面白い。YouTubeやUSTREAMとかで距離を置いた情報として見るのとは違って、その場にいて会話したり実際に接してみることで受ける印象が違って、それが面白いですね。

神戸 どの方もいいインプットになっているんですが、違う部分を見せてもらったのが、なつみ女王様ですね。ストリップ劇場の監督の珍佐清さんもそうですね。まさか自分がストリップに行くとは思わなかったし、もちろんとれはさんもそうですね。どの方がというのが難しくて、住倉さんの猥談というのも始めて聞きましたし、安達監督もそうですね。AVでも特にきわものを取り扱っているんですが、触れることとか死のこととか、美楽塾に来ていなかったら知ることもなかったと思います。

高山 自分はナイルさんのムルギーランチですね。カレーにすごいはまってしまって、ナイルさんがやっているナイルレストランに何十回も通って食べに行って、結局自分でもカレーを作るようになってしまいました(笑)。ナイルさんの息子さんの善己さんのカレー教室に行って、家で友達とカレーパーティーをしたり(笑)。

皆藤 高山さんが思うムルギーランチの魅力を教えてください。

高山 ムルギーランチはカレーなのか何なのかわからないですけど、食べた時の幸せ感がすごいですよね。美味しいし。
前にJINMOさんも言っていましたけど、スパイスのドラッグ力ですね。そういうのを本当に極めている食べ物だなと。だから、カレーにはまったというよりもスパイスにはまった感じですね。

皆藤 どんなカレーを作っているんですか?

高山 善己さんのカレーの本があって、それを最初から作っていったんですけど、最近はそれを組み合わせたりして、野菜とか違うものを入れたりしたり、色々なオリジナルカレーを作っています。
ゲストで来たみなさんは自分の興味に向かっていったら楽しいからやるというのが共通していて、それがすごい魅力的で楽しかったです。

高橋 僕も一人に絞るというのは難しいですけど、クラウス・ヘックマンさんやクリストフ・シャルルさんですね。去年の美楽塾はJINMOさんが毎回ゲストとセッションして演奏をしていたんですけど、ヘックマンさんとはバスサックスという見たこともない楽器だったし、その楽器の音色を聞くのももちろん初めてだったし、それは体験としてすごい楽しかったですね。

皆藤 去年の月一回で開催されていた美楽塾では毎回JINMOさんの演奏がありましたが、隣の部屋で仕事をしていると、音が聞こえてきて、お、始まったなって聞いていました。毎回セッションでをやっていたので、隣のクラスの人もすごい興味を持ったり、美学校で浅生ハルミンさんのインタビューを行ったことがあるんですが、その時がちょうど美楽塾の日だったんですね。ヘックマンさんの演奏が始まって、ハルミンさんはバスサックスのブオォ〜っていう音がとても印象に残っているらしくて、あれは何だったんですかみたいに聞かれたりもしました。
やっぱり音というのはすごくて、身体に直接響くものというのは、記憶だけではなくて身体に残るのかなと思います。

M 私はJINMOさんは五感に重点を置いていると勝手に解釈しているんですね。

授業の時にJINMOさんがお話してくれたiOSの話では、iOSが人間の脳の機能を補完するような機能で、これからの人間の思考のあり方にかなりの変革があるんだという話しをしていただきました。そしてそうなると身体性が重要になってくるというような主旨の話は色々な人が言っていると思います。

そういった背景の中でダンスや身体表現に注目が行っている流れがあると思うんですけど、一般概念でいう芸術という枠に入っていないところにこんなに面白いものがあるんだよということを教えていただいている。それが例えば、ストリップを観に行ったり、TENGAの製品に指突っ込んでみたり、おしっこ飲んでみたり、ということになっているわけですけど(笑)。

美楽塾とは?JINMOとは?〜美楽塾を一年受講して


皆藤 みなさん美楽塾は去年から出られていますが、美楽塾に一年参加し自分の中での変化などがあれば教えてください。

高橋 まだまだ全然かもしれないけど、色々な物事を能動的でフラットに体験できるようになったというのは大きいかもしれないです。これはみんなに言えることかもしれないけど。
Mさんが言ったように知らないことに対する好奇心もそうだと思うし、それは大きく変わったかなと思います。自分の好きなことに対してもそうですよね。

高山 なんでも良いんだなと思いましたね。身体改造とかマハラジャのパーティーとかストリップとか、普通行かないし、普通にしていたら多分出会わなかった世界で、みんな色んな楽しいことをしている。何を見てもいいだろうし、何をしてもいいんだなと思うようになりましたね。

皆藤 より自由を体感できるようになったということでしょうか?

高山 自由というと概念的ですけどもっとあっけらかんと、自分が何をしていてもいいし、他人が何をしていてもいい。

そこでみんな同じことをするわけではないから、その人がしていることを楽しそうだなと思ったりするし、楽しそうなことが色々あって、僕はその中でどんな楽しいことをしていけばいいんだろうなと思いました。

今はとりあえずカレーがうまいですし(笑)。暖かくなったら青空カレーをやりたいですね。

JINMO 野点がやりたいですね。暖かくなったら浜離宮とかで。あそこでおいしいお茶と、カレーとね(笑)。

神戸 私は迷う部分みたいなところがあったんですけど、それが全部ではないですけど、取り払われた感じです。みんな違っていていいんだと。

楽しみ方とか、興味の方向とか、そういったものがわかったのかなという感じです。自分では変化は感じていないんですけど、人から変わったねと言われるようになりました。

M 二回目の芸術の講義でもJINMOさんは「芸術とはこうである」とは言わないんです。最初にそういう講義があって、じゃあ何なんだろうと考える。そこから色々な世界を知るわけです。

JINMOさんも実体験が大事だとおっしゃっているんですけど、書物を読むわけではなく、実際にお会いしたり、体験することで、世界の見方が変わるというのがあると思います。ただそれが全ての人にとってそうじゃなければいけないというわけではないとも思います。社会の中で真面目に働いている人達も素晴らしいですし、既存の社会性を重んじる価値観も大事だと思います。もちろんJINMOさんもそういう価値観を許容されているし、否定するわけではないですけれど、その中でもこういうのもアリだよねとか、ここの人達もみんな面白いじゃんとかそういうことを気付かせてくれます。

皆藤 みなさんのJINMOさんの印象を聞かせてください。

神戸 私が初めてJINMOさんに会ったのは「脳と聴覚と感情の関係」で、ただ単純に話しがすごく面白かったんですよ。だから、、、面白い人(笑)。すごい人なんですけど、会うと絶対に面白い(笑)。

高山 俺も面白いおじさんと言っちゃいますけど、会って話をして、今日はつまらなかったなと思うことがないんですよ。必ず面白いんです。今日も良かったな、楽しかったなというのが毎回なんですよね。

皆藤 JINMOさんの音楽についてはどう思われますか?

神戸 私はそれほど聞いているわけではないですけど、今まで自分が聞いていた音楽とは違って新鮮というか、すごく衝撃を受ける。それに演奏会に来るとやっぱり生で聞かないといけないなと思いますね。爆音で近距離で聞けますし、ライトもありますし、JINMOさんの肉体、汗とか、全部集中しているじゃないですか。だからCDを聞くよりも、生で聞きたいですね。

高橋 面白いというのも、おかしなことを言って笑わせる面白いではなくて、同じ話をしても、前回とは違う感じ方や見方ができていたり、そういうところが面白く感じたりします。わかりやすくいうと毎回発見があるという感じかな。もちろんその面白さを感じるのはJINMOさんの話し方とかもあると思います。

M JINMOさんは「これはダメ」という枠のようなものを設けていないから、こっちも与えられたものに既成概念とか関係なく反応ができます。

JINMOさんの霊獣がオオカミと、ウサギと、カラスらしいんですけど、JINMOさんがウサギ?と思うんですけど、一緒にいるとウサギだなと思うこともあるし、オオカミだなとかカラスだなと思うこともありますし、たまにJINMOさんって人間なのかなと真面目に考えることがあります(笑)。宇宙的な動物のような・・・。

皆藤 では最後の質問です。美楽塾を一言でいうと何でしょうか?

神戸 まさに美楽塾だと思います。美しくて、楽しい、、、塾(笑)。

M 自分が開くことで与えられる場ですかね。

自分で興味があって行かないと、そこで終わってしまうじゃないですか。美楽塾が全てではないですから、ここで触発され、門を叩かれたり、扉を開けられたりすることで他の世界に広がっていく。まさに求めなさい。そうすれば与えられる。ということだなと思います。

高山 世界とか価値観を広げてくれるところだ思います。今まで自分が触れてきたもの以外のものに触れることができる。一度触れたら自分にとって当たり前のものになるから、それをどんどん増やしていけば、何でもいいんだなというふうになる。それがあるから自分も好きにできるし、みんなが何をしていてもいいと思える。そういうことを学んだと思います。

高橋 一言でいうと「楽しみ」かな。美楽塾が「楽しみ」で、「楽しい」は美楽塾と次の美楽塾の間ですね。それは回を追うごとに「楽しい」が大きくなっていくような感じです。だから次の美楽塾も楽しみです。

高山 どんどん楽しくなっていきますよね。

高橋 そう。仕事なんてくだらないなと思うんだけどさ(笑)、それも見方を変えると面白いんだよね。

職場の人とかと集まったりすると愚痴っぽくなったりして、そうなると明日会社行く嫌だなとかネガティブなベクトルになっちゃったりする時もあるんだけど、それも見方が変わるとまあ楽しいなと。

楽しさが増幅していくアンプのような感じですね。だから美楽塾は「楽しみ」です。

皆藤 本日はみなさまどうもありがとうございました。

JINMO

▷授業日:曜日不定(月2〜3回/年間27回) 19:30〜21:30
本講義は芸術表現の技法や知識といった”情報”の伝授の場ではない。五感、総ての感覚器官で対峙する状況における美の”体験”を実感する場としたい。良質のインプット無しには良質のアウトプットはあり得ない。美しいインプットに貪欲であれ。