【イベントレポート】「超・日本画ゼミ」公開講座 「ゼロ年代の日本画クロニクル」ゲスト講師:小金沢智(日本近現代美術史)


文・写真=皆藤将


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2月25日、通年講座「超・日本画ゼミ」の公開講座「ゼロ年代の日本画クロニクル」が開催されました。「超・日本画ゼミ」では、ただ日本画の技法を学ぶだけではなく、美術館やギャラリーに出かけたり、作家研究として受講生がプレゼンをしたりと、様々なアプローチで日本画を学んでいます。(詳しくは講座レポート参照。)ゼミでは今回のような公開講座も定期的に開催しており、今までに宮田徹也さん(日本近代美術思想史研究)、上田邦介さん(絵具屋三吉、ウエマツ社長)、後藤秀聖さん(膠の研究・制作Nibe Lab主宰)といった方々をお招きし、各専門分野でのレクチャーを行っていただいてきました。

今回「ゼロ年代の日本画クロニクル」と題してレクチャーを行っていただいたのは、日本近代美術史を専門とする小金沢智さん。彼は1982年生まれとまだまだお若いながら、世田谷美術館の非常勤学芸員として収蔵品展の企画や教育普及事業を担当。それと平行して、様々な大学での講義や美術館外での展覧会の企画、批評活動も活発に行っています。「超・日本画ゼミ」講師の間島さんとは、2008年に美学校企画の展覧会「ギグメンタ2008」に出展された間島さんの作品を見てからのお付き合いことで、ゼミの授業にも何度かお越しいただいていました。

さて、前置きが長くなりましたが、今回の公開講座に話題を移していきたいと思います。今回の講座タイトルである「ゼロ年代の日本画クロニクル」は、小金沢さんが企画する4月開催予定の展覧会「日本画のハードコア」の参考資料としてまとめられており、講義では小金沢さんがその資料を解説していくというスタイルで進められました。配られた資料はA3で3ページ、2000年以降に日本国内で開催された現代作家中心の日本画展覧会および関連事項の年表が一覧としてまとめられていました。この資料はwebにもアップされており、随時更新されていくそうです。こちらからご覧ください。

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配布された資料

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講義の様子

レクチャーでは、現在の美術界で”日本画”がどのように捉えられているかというところからスタートし、資料に記載されている展覧会を追いながら、2000年以降の日本画の動向について様々なお話をしていただきました。ご来場者の方からも多くのご質問をいただき、講義後は中華料理屋に場所を移して遅くまで盛り上がりました。改めてご来場いただいたみなさまありがとうございます。

そして小金沢さんが企画をされている展覧会「日本画のハードコア」についても触れておきたいと思います。

日本画のハードコアweb用表

「日本画のハードコア」フライヤー
デザインは「絵と美と画と術」修了生の浦川彰太さん

「日本画のハードコア」は、美学校が主催となって毎年開催されているアートイベント「ギグメンタ」の一企画として、4月7日から12日(日)まで、信濃町のアートコンプレックス・センターACT5にて開催されます。出展者は岩田壮平、蝦原由紀(加藤由紀)、大浦雅臣、田中武、中村ケンゴ、間島秀徳の各氏。

小金沢さんの書くコンセプトテキストでは、”制作テーマも世代も異なるものの大学で日本画を専攻した6名の作家によって、日本画の超克や現代美術化を狙うのではなく、そして多様性の名の下に日本画の定義不可能性を語るのではなく、これこそが日本画のハードコアだと断言してみせることで、来るべき日本画を確信犯的に誘発することにほかならない。”と締めくくられており、企画への強い意気込みが感じられます。

会期中の4月11日には小金沢さんと美術家の梅津庸一さんによる対談「日本画と洋画のミームの摘発」も開催予定です。会期は6日間と短いですが、見応えのある展覧会になると思いますので、お見逃しなく。

詳細は以下をご覧ください。

ギグメンタ2015「日本画のハードコア」展


出 品:岩田壮平、蝦原由紀(加藤由紀)、大浦雅臣、田中武、中村ケンゴ、間島秀徳
企 画:小金沢智
会 期:2015年4月7日(火)〜12日(日) 11時〜20時(最終日は18時まで)
会 場:The Artcomplex Center of Tokyo 2階 ACT5(東京都新宿区大京町12-9)
主 催:美学校・ギグメンタ実行委員会
協 力:The Artcomplex Center of Tokyo
観覧料:無料
詳 細:http://hardcore-nihonga.weebly.com/


【イベント】
(1)オープニングパーティー
日時:2015年4月7日(火)18時〜20時
会場:The Artcomplex Center of Tokyo 2階 ACT5
参加費:無料、どなたでもご参加いただけます

(2)対談「日本画と洋画のミームの摘発」
出演:梅津庸一(美術家)、小金沢智(本展企画者/日本近現代美術史)
日時:2015年4月11日(土)14時〜16時
会場:The Artcomplex Center of Tokyo 2階 ACT5
参加費:無料、どなたでもご参加いただけます


Majima Hidenori

▷授業日:毎週水曜日 13:00〜17:00
本講座では自立した作家として歩み出せるように、制作実践のための可能性を探究し続けます。内容は基礎素材論に始まり、絵画制作に必要な準備の方法を習得するために、古典から現代までの作品研究等をゼミ形式で随時開催します。