【レポート】「外道ノスゝメ」課外授業:本屋ツアー(ゲスト:阿部謙一、佐々木健)


文=皆藤将、関優花 写真=関優花、松田修


時には美学校の外に出て授業を行う現代美術講座「外道ノスゝメ」。12月10日の授業ではゲストを招いて本屋ツアーが開催されました。受講生の写真とコメントを元にその様子を振り返ってみます。

今回ゲスト講師として参加してくれたのは、編集者の阿部謙一さんとアーティストの佐々木健さん。阿部さんは「映像表現の可能性」の講師でもあります。ツアーはお二人が主導してくれました。

▼当日は、都内某所の大型書店に集合。その後、エスカレーターで美術書コーナーへ向かいます。

エスカレーターに乗りながら、佐々木さんが作ってきてくれた重要本リストを読みます。美術史入門から美術界隈で話題の本まで偏りのないようにセレクトしたそうです。松田さんは学生時代、佐々木さんにどんな本を読むべきか聞いていたとか。

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『美術の物語』エルンスト・H. ゴンブリッチ(ファイドン)

佐々木さんが一番におすすめしたゴンブリッチの「美術の物語」。美術史が通史 でよくわかる本。図版がしっかりしているので一家に一冊あってもいいレベルの本とのこと。

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『THE ART SPIRIT』Robert Henri(国書刊行会)

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『なぜ、これがアートなの?』アメリア・アレナス(淡交社)

阿部さんが現代美術入門に挙げた一冊。

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様々な本が紹介されていきます。

『アート:“芸術”が終わった後の“アート”』松井みどり(朝日出版社)

『ソーシャリー・エンゲイジド・アート入門』パブロ・エルゲラ(フィルムアート社)

『芸術起業論』村上隆(幻冬舎)

『マルセル・デュシャン』カルヴィン・トムキンズ(みすず書房)

『人工地獄 現代アートと観客の政治学』クレア・ビショップ(フィルムアート社)

『キュレーション 「現代アート」をつくったキュレーターたち』ハンス・ウルリッヒ・オブリスト(フィルムアート社)

『櫃田伸也:通り過ぎた風景』櫃田伸也(東京藝術大学出版会)

『ガタロ―捨てられしものを描き続けて』絵:ガタロ/文:中間英敏(NHK出版)

『コンセプチュアル・アート』トニー・ゴドフリー(岩波書店)

松田さんが学生時代コーランのようにして読んでいたという、岩波書店の「コンセプチュアル・アート」。

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棚を一段一段見ていき、どの本か重要か、流行っているか、面白いかをレクチャー。そして会田さんやチンポム関連の本が棚の下の方にあって嘆く松田さん。

その後、図録コーナーに移動。阿部さんが編集を担当した書籍がたくさんありました。

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美術コーナーで一時間以上消費したのち、階を移動し文庫コーナーに。 美術関連以外の新書や小説などもチェックしていきます。

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受講生の野呂さんが購入を決めた3冊。

『映像の修辞学』ロラン・バルト(筑摩書房)
『シュミレーショニズム』椹木野衣(筑摩書房)
『イメージ―視覚とメディア』ジョン・バージャー(筑摩書房)

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もう一人の受講生、関さんは阿部さんが編集した東谷隆司「NAKED」を購入。

『NAKED』東谷隆司(東京キララ社)

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▼手前の本は阿部さんが著者として参加した劇団★死期の本。

『ユダヤ人と近代美術』圀府寺司(光文社新書)

『現代アート探偵 ゲンダイチコースケの事件簿 銀髪の賢者と油之牝狗 劇団★死期ブック』岡田裕子+松下学+阿部謙一(アートダイバー)

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こんな感じで二時間の授業が終了しました。どの本がどんな風に重要なのか、体系的につかむことができたそうです。

今回は美術書コーナーと文庫コーナーだけでしたが、次回またこの企画があったときは、雑誌や漫画もみてみようとのことでした。

Matsuda

▷授業日:毎週土曜日 19:30〜22:30
現代を様々な角度から考証し、ハミダシ者として表現を創造していくことを目的に授業を進めていきます。キーワードとして、「サーチ&デストロイ」を強く意識していき、学校教育では教えられないことを存分に取り入れながら、強い表現とはなにか?を考え実践していきます。