【レポート】「会田誠の月イチぼったくりBAR」第4夜 ゲスト:中島晴矢


文=木村奈緒 写真=渡邊悠太


「会田誠特製謎のつまみ」を食べながら、ブレイク間近の若手芸術家のトークを聞く「会田誠の月イチぼったくりBAR」。4回目を迎えた今回は、現代美術家でありラッパーでもある中島晴矢さんをゲストにお迎えしました。

今回は中島さんたっての希望で、スライド等を使ったプレゼンテーションではなく、中島さんと会田さんの「芸談」&「床屋政談」を展開。文学・政治・社会・ヒップホップそして芸術……と約3時間にわたって尽きることなくトークが繰り広げられた当日の模様をレポートします!

ぼったくり「BAR」ではなく、ぼったくり「BARBER」


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会田さんの到着を待っているとき、おもむろに何かをホワイトボードに描き始めた中島さん。グラフィティ調に描かれたのは「会田誠の月イチぼったくりBAR」ではなく、「会田誠&中島晴矢のぼったくりBARBER」。BARBER=床屋。会田さんと芸談&床屋政談をしたいと意気込んでいた中島さんのちょっとした洒落です。ボードには、「個人的な話」から「日本の政治状況の話」「3.11という分水嶺」など、気になるテーマが散りばめられています。これらのテーマを自由に行き来しながら、トークが展開されました。

三島由紀夫から芸談開始


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大学受験予備校時代に美学校に通っていた中島さんは、若くして美学校の10年選手(?)。以前から会田さんとも親交がありますが、会田さんと腰を据えて話すのは意外にもこの日が初めてとのこと。心地よい緊張感が漂うなか、まずは二人の共通点とも言える三島由紀夫の話からトーク開始。高校1年生のとき資料集で三島を見た時の第一印象は「非常に悪かった」という会田さん。しかし、「三島の【嫌い】と【好き】が100%全部ぶつかったままやってしまう」「現代から逃げない」部分は、会田さん自身が作家として活動する上で三島から学んだことだ、とのこと。一方、三島のモノマネ芸で作家デビューした中島さんは、会田さんと三島の話をできる感慨にひたりながら、三島へのアツい思いを語ってくれました。

震災・世代・文化・社会・恋愛……尽きない話題


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その後も、3.11という分水嶺をお互いがどう受け止めたのか、90年代から現代に至るまでの政治状況、若手作家の公募展「都美セレクション」の展示を実例に現代美術のあれこれ、果ては中島さんのプライベート(恋愛)話からテロ事件まで、テーマを問わず話が展開されました。本来ならばこの日しか聞けないトークですが、なんと中島さんがネット上で録音を配信してくれましたので(前後編、各100円で購入可能)、気になる方はぜひぜひこちらから購入をお願いします。

これが俺たちのWILD STYLE


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当初の予定を遥かオーバーして3時間にわたって繰り広げられた芸談&床屋政談。クールダウンのために水を差し入れても水には一切手を付けず酒を所望する中島さんに、このまま永遠に終わらないのでは…と一時は心配したスタッフでしたが、そこはさすがの仕切りで、盛り上がりがピークに達したところで熱が冷めやらないうちに終了。お客さんもお腹いっぱいになってくれたのではないでしょうか。最後は、ラッパーらしく記念撮影を。

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この日の「会田誠お手製謎のつまみ」は、モツ煮込みでした。身も心も温まりますね。

次回は2/9(火)開催!


ということで、あらゆるジャンルに精通した中島さんと会田さんならではの語りに引きこまれた第4夜でした!さて、次回は2016年2月9日(火)に開催します。気になる第5夜のゲストは、自ら過激なメイクと衣装をまとい、ユーモラスかつ猟奇的な作品で人々を魅了する現代美術家の林千歩さん。トークは苦手と公言する林さんですが、だからこそ何が行われるのか楽しみです。もちろん次回も予約不要です。奮ってご参加ください!詳細はこちら