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講師インタビュー/遠藤一郎(未来美術専門学校アート科)

講師インタビュー/遠藤一郎(未来美術専門学校アート科)


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━━━単刀直入に失礼ですが、「未来美術専門学校アート科」(以下「未来美術専門学校」)ってどんな講座か分かりにくいので、受講をためらう人が少なくない気がしています(笑)

ただ受講生を増やしたいなら、まず講座紹介文を変えればいいんだよ。あれでは入りづらいでしょ(笑)。でも、あの文章を読んで受講するやつは面白いし可能性があるからな。今期(3期)も、俺のことは知らないけどあの文章を読んで勘で入りましたって言うやつがいるけど、すっごい面白い。

━━━それはすごいですね。そもそも、遠藤さんが「未来美術専門学校」を始めたきっかけって何ですか。最初は藤川さん(美学校代表)に声をかけられたんですよね。

確か、(藤川代表のマネで)「俺はさ、お前が講座をやったらいいと思っているわけ。お前は楽しいんだか大変なんだかぐだぐだしているけどよ、一人じゃやっぱできないわけだから。お前が講座をやって人が集まったらいいなって思っているわけよ、俺は」って言われたと思う。

━━━似てる(笑)。それ以前は美学校との接点はありましたか。

俺は美学校出身でもなんでもないけど、竜太くん(Chim↑Pomリーダーの卯城竜太)とか、愛☆まどんなとか、臼井(良平)とか、メガネとか親しいやつらが美学校出身なわけじゃん。会田(誠)さんが美学校で教えてたこともあったし。それで美学校のことは知ってたし、藤川さんが俺の活動を見てくれてたんだな。ラピュタ(※1)はもともとメガネたちのアトリエで、メガネたちがそこを出ることになったら、藤川さんから「上の小屋が空くんだけどよ、お前東京にいるときどこにいるんだ?人が集まったりするならそこ使っていいからよ」って鍵渡されて。それでラピュタになったんだよ。

━━━それはいつごろの話ですか。

6年前くらい。2010年ごろかな。ラピュタができてから、よく来るというより住処(すみか)みたいになっちゃったね。

━━━それで、「未来美術専門学校」につながると。

(藤川代表のマネで)「一郎もな、活動とかでちゃんと伝えてきてると思うんだけど、講座を持って、それで来た生徒たちに伝える、そういう伝え方っていうのも……俺は思っているんだ」って言われて(笑)。

━━━(笑)。それで迷いなく引き受けたわけですか。

いや、1回断ってるんだよ。講座を始める2年前くらいに、「卯城が天才ハイスクール(※2)始めただろ、お前もなんか講座があったらいいと思ってんだ、俺は」って藤川さんに言われたときに断ったんだよ。そのときはあちこち動き始めたときだったから、1週間に1回美学校に来るのは無理だし、バスに乗ってくるやつが生徒みたいになってるから難しいって言って断った気がする。それで、天才ハイスクールが終わるタイミングでまた声かけられたんだろうな。今度は俺も「レインボージャパン」(※3)が終わったところだったから引き受けた。

━━━なるほど。講座をやってみようと思ったのはなぜですか。

美大を卒業したくらいの20代の連中を見たときに、美大がそいつらの楽しくて面白いセンスをつぶしまくってるから、本当のことを教えてやんなきゃかわいそうだなって。もちろん美大生だけじゃなくて世の中のロボット化している全員に同じことを思っているけど、一度に全員を相手にするのは無理だから、俺のまわりの目に見えるところからちょっとずつでも本当のことを伝えていくことは必要だなって思ったわけ。俺は10年近く「未来へ号」に乗ってきて、実体験で得たものがある。自分の体験を通して得たものをガチで教えられるやつって案外少ないから、じゃあ自分がやんなきゃいけないのかもなって。

 

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━━━「未来美術専門学校」ではいろんな場所に出かけますけど、それも本当のことを知るためですか?

知るっていうか、本物を体験しに行く。「本物」の基準は、「よくわからない」「理解しがたい」「宣伝してない」「デザインされてない」とかね。

━━━なんのために本物を体験するんですか?

決まっているじゃないか、本物に気づくためだよ。本物を見ると、ほとんどがウソだってわかるんだから。少ない本物を見る視野を広げるためだよ。ウソを暴こうとしている人たちはたくさんいるけど、「これが嘘だ、あれが嘘だ」って暴くのはダメなの。それは面白くないの。それよりも「本当のことを知れ。本当のことをやれ」っていうふうにしないと。世の中のしくみは嘘ですよ、トリクルダウンなんてないですよとか、「嘘です、陰謀です」っていう本は売れるかもしれないけど、それでは面白くないし、精神上もあんまり良くないわけよ。だって、疑ってかかれみたいな感じなわけでしょ。暴くなんてことよりも、本当のことを見る、体験する、つかむっていうほうがよっぽど強度が強いわけ。そこが同じ本当のことを言っていても全然違うところ。「ウソを暴いて本当のことを知る」んじゃなくて、「本当のことを体験してウソを見破る」っていうふうにしないとダメなの。

━━━それこそが今必要なことだと。

必要どころじゃないよ。末期すぎて絶望的だ(笑)。そもそも「未来へ号」は絶望から始めてるんだよ。十数年前に、「もう死ぬ、絶望的だ、もう世の中だめだ」ってなって、「未来へ!」って言って始めたわけよ(笑)。

━━━「未来美術専門学校」では、それを集まった人たちと一緒にやるわけですね。

これまでは「未来へ号」っていう活動で伝えてきたし、そのほうがリアルだけど、乗ってこれるやつしか分からないからな。体力ないやつもいるし、自分が30歳をすぎて、まだちょっと早い気もするけど、黒板の前に立って言葉にして教えるっていう方法もあるかなって思ったところはあるかもしんないよね。「未来へ号」を10年やってみて、意外とこの世の中の仕組みを諦めて好き勝手やってるやつがいなかった。地方でひっちゃかめっちゃっかやってるおじさんとかはいるんだけど、その感覚を伝えるために活動している人は意外といなかった。だから、それを伝えるために「未来美術専門学校」みたいなことをやらなきゃいけないんだろうなとは自ずと感じてた。

━━━講座は毎月土・日の2日間で、1ヶ月分に相当する授業をやるんですよね。毎年違うとは思うんですけど、今までにどんなことをやりましたか。

富士登山、ダーツの旅、深海魚水族館、とんでもねー変な文明の奇石を見にいったり。伊勢神宮、高野山、雑草酵素づくり、夜の首都高ドライブ、ミンクの里……。

 

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謎の巨石めぐり(飛鳥編)にて。奈良県橿原市にある「益田岩船」
(写真:受講生提供)

 

━━━私も第1期のときにいくつか行きましたが、ミンクの里とかは強烈でしたね(笑)。ちなみに、受講生にこんなふうになってほしいとかってありますか?

どうしてほしいかっていうのは具体的にないよ。好きにやれって感じだね。好きにできない世の中だから。とにかくそいつが好きにやればいい。でもやっぱり肉体はこの現実にあるわけだから、好きにやるだけじゃなくて、うまくこの常識をツールとして、アプリケーションみたいな感じで使えるようにしてあげたい。1年では短いけれども、だから「未来美術専門学校」は1年で終わりじゃない、卒業はないって言ってる。「うわっ」とか「なんじゃ」って思うような本当の体験をいっぱいするのが「未来美術専門学校」での1年。

━━━「未来美術専門学校」で遠藤さんが楽しみにしていることはありますか?こんな人たちと出会いたいとか。

そういうのは全然ない。誰でもいいって言うと雑な言い方だけど、本当に誰が来ようと別にどうでもいいの。誰だろうと関係ない。誰が何しようがどうでもいいんだよ(笑)。好きなことをやれよって、この世の中でそれをやるのは難しいから、好きなことをやる考え方だったり、やるための精神的強度だったりとか、そういうものを「未来美術専門学校」での体験を通して体得できるようにしていきたいと思ってる。だから、誰に来てもらってもいい。

━━━「未来美術専門学校」は今期で3期目を迎えます。始めたからには、何か目指すところがありますか?

始まったからには……少しづつかもしれないけど、それぞれが本当に好きなことをやって、ぐっちゃぐちゃになるのが楽しみなんだよ。「自分が好きなことをやっていること」が「本当」なわけだから、やっていることがぜんぜんわけわかんなくても変でもどうでもいいわけ。そうやってカオスにぐっちゃぐちゃにしてってくれるのが楽しみだな。「人の役に立って素晴らしい」っていうのじゃなく、「何やってんだお前は、バカじゃねーか(笑)」っていうの。それが本物だもん。それを「未来美術専門学校」のやつらがあちこちでやってたら明らかにそいつら輝くもん。あちこちでビカビカ輝いてくれって、それが見たいだろ。

━━━それこそ希望ですね。ちなみに、一郎さんが今好きなことはなんですか?

たくさんあるよ。カッパ師匠(※4)、超楽しいし。大豆とか(※5)すげー面白いしね。特殊微生物発酵酵素と、静電三法エレクトロンチャージャーを合わせた世界唯一の農業やってるしね。大豆作るとね、キジが食いやがるんだ。

━━━よく分からないけど楽しそうですね(笑)。「未来美術専門学校」から光輝くカオスが生まれるのが楽しみです。今日はありがとうございました!

(収録:2016.6.13、未来へ号にて。聞き手:木村奈緒)

※1:ラピュタ
美学校の屋上にあるプレハブ小屋。インタビューにあるように、遠藤さんを中心とする人たちが各地から集まるようになり、「ラピュタ」の名称で呼ばれるようになった。

※2:天才ハイスクール!!!!
2010年から2014年に美学校で開講された講座。アーティスト集団Chim↑Pomのリーダー・卯城竜太が講師を務め、多くの若手作家を輩出した。

※3:レインボージャパンプロジェクト
出会った人の夢をのせて走る「未来へ号」のドライバー、未来美術家の遠藤一郎が、日本列島に走行の軌跡でメッセージを描くプロジェクト。日本列島をキャンバスに、GPSで「いっせ~の~せ」「→ARIGATO→」のメッセージを描いた。

※4:カッパ師匠
遠藤さんの最近のプロジェクト。文字通りカッパに扮して各地に出没。

※5:大豆
御殿場で知り合ったおじさんに借りた畑「富士山マグマ農場」で作っている大豆のこと。大豆意外にもお茶、野菜などを作っている。農業の様子はYouTubeで見ることができる。 富士山マグマ農場チャンネル

 

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授業日:毎月第三週の土曜日と日曜日
未来美術家・遠藤一郎による新講座。本当にお前がやりたいことは何なのか。お前の夢を好きなまんまにやれ、わがままに。夢バカ最強宣言。非実力派宣言。最初の一歩。世の中にはへんなやつが必要だ!!